アスベスト曝露が引き起こす主な疾患とリスク

アスベストは絶縁性や耐火性に優れた天然鉱物繊維で、かつてはさまざまな建築資材に広く使用されました。屋根材、壁材、紙製品、セメント、車部品、耐火布、ガスケットなどが代表例です。これらの製品は健全な状態では問題ありませんが、破損や劣化により繊維が空気中に放出されると、吸入した人に深刻な健康被害をもたらします。肺、胃、心臓などの臓器に影響し、致命的な疾患を引き起こすことがあります。

主なアスベスト関連疾患

中皮腫(メソテリオーマ)

中皮腫はアスベスト繊維への曝露が唯一の原因とされる稀ながんです。胸膜・腹膜・心膜などを覆う中皮組織ががん化し、潤滑液の分泌が阻害されます。呼吸困難や胸痛が最初の症状となり、発症まで30〜40年の潜伏期間があります。現在のところ根治的な治療法は確立されていません。

アスベスト症(アスベストーシス)

アスベスト症は肺の肺胞に繊維が沈着し、瘢痕組織を形成する進行性の疾患です。酸素の血中取り込みが阻害され、息切れや呼吸時のヒューヒュー音が現れます。重症例では心臓に負担がかかり、心不全に至ることもあります。肺がんへの進展リスクもあり、組織の瘢痕化が始まると根本的な治療は困難です。

アスベスト性胸膜疾患

アスベスト繊維が胸膜に付着すると、胸膜が肥厚し硬くなります。これはアスベスト症と同様に瘢痕が原因ですが、影響部位が肺の表面です。発症まで平均10年かかり、CTや胸部X線での検出が有効です。症状は息切れや肺機能低下で、治療法はなく、繊維の残存が繰り返し瘢痕化を促進します。

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