腹水の診断方法と手順

腹水とは

腹水は、腹腔内に液体が異常に貯留する状態を指します。最も一般的には肝硬変など肝疾患が原因ですが、癌、心不全、腎不全、膵臓疾患、外傷、虫垂炎、腸炎や感染症などでも発生します。

診断の流れ

腹水の原因を特定するためには、問診・身体診察・血液検査・画像診断・必要に応じた手術的検査を組み合わせます。以下に主な原因別の診断ステップを示します。

1. 肝性腹水の診断

  1. 既往歴の確認:アルコール依存、胆汁うっ滞、肝炎、肝性脳症、門脈圧亢進などの既往がないか確認します。
  2. 身体診察:腹部の圧痛、浮腫、肝臓・脾臓の腫大、発熱、黄疸、意識障害、便の異常、消化管出血の兆候、言語障害、排尿障害などをチェックします。
  3. 症状の聴取:歯茎出血、嘔吐血、食欲低下、便秘、呼吸困難、胸焼け、倦怠感、急激な体重変化、鼻血や掻痒感の有無、アルコール摂取状況を確認します。
  4. 検査:血算・凝固検査・ビリルビン、肝酵素、アルブミンの測定。CTで腫瘍の有無、ドップラー超音波で血栓、MRIで関連疾患、超音波で液体貯留を確認します。
  5. 外科的評価:腹腔鏡検査で直接観察し、肝硬変の有無を組織診断(生検)で確定します。

2. 乳糜腹水(チロリック腹水)の診断

  1. 既往歴の確認:拒食症、癌、心不全、肝炎、結核、性感染症など乳糜腹水の前提となる疾患を確認します。
  2. 身体診察:貧血、皮膚やリンパ節の変化、心雑音、肺水腫、疼痛、感染・内出血の徴候、浮腫、静脈・腹部の膨張を観察します。
  3. 症状の聴取:便秘、食欲低下、倦怠感、インフルエンザ様症状、頻回の胸焼け・吐き気、薬物・アルコール使用状況を確認します。
  4. 検査:ビリルビン・肝酵素・アルブミン上昇の有無を血液で確認。腹部・胸部X線で基礎疾患を評価し、CTで癌、超音波で液体貯留を確認します。
  5. 穿刺診断(腹水採取):乳白色(ミルクのよう)に濁った液体が採取できたら乳糜腹水が疑われます。採取液は細菌培養も行います。
  6. 外科的評価:腹腔鏡で病変を直接確認します。

3. 膵性腹水の診断

  1. 身体診察:胆嚢・肝臓・膵臓のサイズ・触診・形状変化、黄疸、浮腫の有無を確認します。
  2. 症状の聴取:上腹部痛、食欲不振、過度の疲労、呼吸困難、体重減少などを尋ねます。
  3. 検査:ビリルビン上昇の有無を血液で確認。CTや内視鏡超音波で膵臓画像を取得し、ERCPや経皮的経肝胆道造影で胆管機能を評価。腹部超音波で液体の流れや腫瘍の有無を確認します。
  4. 針生検:癌などの基礎疾患を除外するために組織を採取します。
  5. 外科的評価:腹腔鏡下手術で直接観察します。

まとめ

腹水の診断は、原因疾患ごとに問診・身体診察・血液・画像検査を組み合わせ、必要に応じて穿刺や腹腔鏡検査で確定します。早期に正確な鑑別ができれば、適切な治療計画を立てやすくなります。

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