医師は、深部静脈血栓症(DVT)症状の患者に対し、最初にどのような処置を行うべきか?
1. 病歴と身体診察
医師はまず、患者の症状や既往歴、DVTのリスク因子(長時間の固定、最近の手術、血栓の家族歴など)を詳しく聴取します。
続いて、患部の四肢を中心に視診・触診を行い、腫脹、圧痛、温感、皮膚変色などを確認します。足首を背屈させたときにふくらはぎに痛みが出るホーマン徴は古典的な所見ですが、必ずしも信頼できる指標ではありません。
2. 診断検査
D-ダイマー検査:血液中のD-ダイマー濃度を測定し、血栓が存在すると上昇します。陰性結果はDVT除外に有用ですが、陽性の場合は追加検査が必要です。
圧迫超音波検査:非侵襲的に血管内の血栓を可視化する最も一般的な検査です。患部の静脈を圧迫し、血流の有無や血栓の位置を評価します。
3. 初期治療
抗凝固療法:疑いがある段階でも、血栓の拡大や新たな血栓形成を防ぐために抗凝固薬を開始します。ヘパリンやワルファリン(クマジン)のほか、エノキサパリン(ロベノックス)などの低分子量ヘパリンが初期治療に好まれます。
圧迫療法:圧迫ストッキングや包帯を使用し、血流改善と腫脹軽減、再血栓防止を図ります。
挙上:患部を心臓より高く上げることで、血液循環が促進され腫脹が軽減します。
4. 追加評価と長期治療
初期治療開始後、血栓の範囲や深さを確定するために静脈造影やMRIなどの追加検査を行うことがあります。
治療方針は、患者の全身状態、血栓の部位・重症度、併存疾患に応じて個別に決定されます。再発リスクが高い場合は、数か月から無期限までの長期抗凝固療法が推奨されます。
DVTの早期診断と適切な治療は、血栓が肺へ飛散し肺塞栓症(PE)を引き起こす重大な合併症を防ぐために不可欠です。
