デング出血熱の医療管理について

デング熱は毎年5,000万〜1億人が罹患し、熱帯・亜熱帯の雨季に蚊媒介で流行します。ワクチンは未承認で、治療は水分補給と対症療法が中心です。

症状・影響

デングウイルス感染の多くは無症状か軽度の発熱にとどまりますが、10〜15%がデング熱(DF)、デング出血熱(DHF)またはデングショック症候群(DSS)へ進行します。DHFの致死率は約5%です。

臨床所見

患者はインフルエンザ様の筋肉痛、斑状または点状出血性の発疹、急な発熱、眼窩後部痛、吐き気・嘔吐を訴えることが多いです。出血や血管透過性亢進の兆候も見られます。乳児は母体抗体により症状が軽減することがありますが、15歳未満の子どもで重症化リスクが高いです。急性期(発症後5日以内)に特有の「鞍形熱」も報告されています。雨季や蚊の活動が活発な地域では、感染が疑われる場合は旅行歴や潜伏期間(3〜14日)を考慮してください。

経過と診断

潜伏期間は3〜14日、急性期は約5日間続き、発熱・発疹・重症化が見られます。回復期は発症から最大3週間続き、成人では疲労感や抑うつが残ることがあります。診断には2回以上の血液採取が必要です。1回目は急性期に、2回目は回復期(発症後6〜21日)に行います。急性期の検体でCBC、アルブミン、肝機能、ウイルス分離、血清学検査を実施し、回復期の検体はELISAによる血清学検査に用います。

鑑別診断と所見

デング出血熱は臨床所見に基づいて経験的に管理されますが、ウイルス分離や血清学的確定は急性期には難しいことが多いです。鑑別にはインフルエンザ、マラリア、はしか、風疹、レプトスピラ症、髄膜炎球菌感染、腸チフス、細菌性敗血症、他のウイルス性出血熱などが含まれます。脱水や血管透過性の亢進により血圧が上昇することがあります。出血徴候は点状出血や鼻血、口腔内出血、肛門・膣出血、耳出血などです。CDCのツアニケットテストは血圧計カフを収縮期と拡張期の中間で5分間加圧し、1平方インチあたり20個以上の点状出血が認められれば陽性とします。肝酵素(AST、ALT、GGT)やビリルビン、アルカリフォスファターゼの上昇もみられます。

警告サイン

デング熱患者に痙攣、意識混濁、意識低下などの神経症状がある場合、デング出血熱への進行リスクが高まります。デング出血熱では循環不全やショックの前兆に注意が必要で、激しい持続性腹痛、嘔吐の反復、発熱後の急激な低体温、意識障害が危険サインです。

検体採取の留意点

致死例の病理解析を行う際は、心臓、肝臓、腎臓、肺、腸、脾臓、リンパ節、脳、点状出血が認められる皮膚部位などから新鮮な組織を採取し、ウイルス分離や免疫組織化学検査に使用します。ホルマリン固定組織はウイルス分離に適しません。

専門家の見解

デングウイルスは4つの血清型(DEN-1〜DEN-4)があり、相互免疫はありません。過去にデング熱に罹患していても再感染は可能です。流行地域では複数血清型の同時感染も起こり得ます。また、B型・C型肝炎ウイルスとの同時感染は肝機能検査値の異常を引き起こすことがあります。

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