首の痛みを和らげる注射治療の概要

コクラン協力機関によると、生涯のうちに25%以上の人が何らかの首の痛みを経験するとされています。首の痛みは外傷、基礎疾患、加齢による変性(摩耗)など様々な原因で起こります。主な症状は疼痛、筋力低下、しびれ、頭痛、そして腕へ放散する痛みやしびれです。

首の痛みの治療法の一つとして、注射療法が広く用いられています。使用する注射の種類は、痛みの原因や部位に応じて選択されます。

使用される薬剤

まず局所麻酔薬で患部を麻酔し、主にリドカイン(ジロカイン)やブピバカイン(マルカイン)が用いられます。麻酔が効いた後、炎症を抑えるステロイド薬が注入されます。代表的なステロイドはコルチゾンで、炎症を軽減し痛みを和らげます。

トリガーポイント注射

筋肉が緊張したままでリラックスできない場合に起こる中等度から重度の筋肉痛に対して行われます。細い針で痛みのある筋肉に局所麻酔薬(リドカインまたはブピバカイン)を注入し、必要に応じてステロイドも併用します。

ステロイド注射

硬膜外ステロイド注射、仙腸関節注射、椎間関節注射などがあります。これらは局所麻酔で患部を鎮めた上で、フルオロスコピー(透視)を用いて正確な位置にステロイドを注入します。硬膜外注射は脊髄を覆う硬膜と骨の間(硬膜外腔)にステロイドを注入し、椎間関節注射は可動性を保つ椎間関節へ、仙腸関節注射は骨盤と仙骨の接合部へ投与します。

ハードウェア注射

頸部に手術用のピン・スクリュー・ロッド・プレートなどの金属が残っている患者で、これが痛みの原因となることがあります。その場合、金属の周囲に局所麻酔薬を注入して痛みを軽減します。

禁忌事項

以下の状態にある患者は首への注射を受けられません。

  • 抗凝固薬を服用中、出血リスクが高い方
  • 感染症がある、または感染が完治していない方
  • 血液凝固障害や出血傾向がある方
  • 重篤な不安定な全身状態(例:急性心不全、腎不全)

注意点

注射前に次の点に留意してください。

  • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を服用している場合は、出血リスクが高まるため、医師の指示に従い一定期間中止することが必要です。
  • 薬剤アレルギーや過敏症がある場合は必ず医師に伝えてください。
  • 糖尿病患者は血糖値が上昇する可能性があるため、注射前に医師と相談してください。
  • 高血圧、腎機能障害、重篤な心疾患、うっ血性心不全などの既往がある場合は、体液貯留などの副作用に注意が必要です。

以上が首の痛みを対象とした主な注射療法の概要です。症状や体調に合わせて、適切な治療法を医師と相談してください。

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