ヒトの心臓虫感染症:症状・診断・治療・予後
ヒトの心臓虫感染症は極めて稀です。犬や猫から直接感染することはなく、主に蚊が媒介します。人間の体内では寄生虫が完全な生活環を完結できませんが、肺や他の臓器に結節を形成し、健康障害を引き起こすことがあります。
症状
犬や猫で見られるような疲労、咳、失明、体重減少、消化障害、死などの典型的な症状は、ヒトではほとんど現れません。むしろ、寄生虫が臓器内で死滅する際に免疫反応が起こり、肺ジロフィラリア症(寄生性肺炎)として結節が形成されます。症状が出る場合は、咳、発熱、胸痛などが報告されていますが、多くの患者は無症状です。
診断
多くの場合、他の疾患の検査(CTやX線)で偶然に結節が見つかり、初めて心臓虫感染が疑われます。結節はがんや他の病変と類似するため、確定診断には生検が必要です。組織検査で寄生虫の残骸が確認されれば、心臓虫感染と診断されます。
罹患リスク
犬の予防投薬が普及するにつれ、ヒトへの感染は減少しています。予防処置が行われていない犬や野良動物が多い地域では、蚊が感染犬の血液中の幼虫を吸い取り、次に人を刺すことで感染リスクが高まります。
影響
名前の通り心臓に寄生することは稀で、主に肺に移動し死滅して嚢胞(結節)を形成します。稀に眼や精巣など他の部位に移行することもあります。重症例では、影響を受けた部位の外科的除去が必要になることがあります。米国国立医学図書館の報告では、精巣の除去(精巣摘出)が行われた例が記録されています。
予後
ヒトにおける心臓虫感染で死亡したケースは報告されていません。人間は寄生虫にとって適した宿主ではないため、生活環を完結できず、寄生虫は死滅します。医師は主に二次的な炎症や結節の除去・管理を行い、完全回復が期待できます。
