子どものTSH上昇(甲状腺機能亢進症)
TSH(甲状腺刺激ホルモン)の上昇は、子どもにおいても甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性があります。新生児スクリーニングでTSH値が測定され、上昇が認められた場合は再検査を行い、正確な診断と適切な治療が必要です。
原因
- 成人と同様に、子どもでもさまざまな甲状腺疾患が発症します。特に思春期に近づくにつれて、バセドウ病(Graves病)が最も一般的な原因となります。
- バセドウ病は自己免疫疾患で、体内のリンパ球が抗体を産生し、甲状腺細胞に結合して過剰に刺激します。その結果、甲状腺が過活動となり、TSHが上昇します。
症状
- 心拍数の増加、安静時でも速い脈拍
- 手の震え(振戦)や体が熱く感じる
- エネルギーが過剰になり、食欲増進やイライラ、睡眠障害(入眠困難・不眠)
- 過度の疲労感
- 子どもは大人ほど症状を自覚しにくいことがあります。
リスク要因
- 家族に甲状腺疾患の既往がある場合
- 妊娠中・産後・流産後の女性
- 過去に甲状腺機能亢進症の治療歴がある、またはTSHが高値だった経験がある人
- TSHの持続的な高値は甲状腺機能亢進症の強い指標ですが、必ずしも確定診断ではありません。
注意点・合併症
- バセドウ病を放置すると眼球の筋肉が障害され、眼球突出や視力低下が起こります。
- 妊娠中のバセドウ病は胎児に影響し、流産や早産、死産のリスクが高まります。
- 甲状腺ストーム(甲状腺危機)という急激な甲状腺活動亢進は、発熱、寒気、全身倦怠、精神錯乱、最悪の場合昏睡に至る命に関わる緊急事態です。
治療
- 持続的にTSHが高値である場合、まずは原因疾患の特定と重症度の評価を行います。
- 治療は抗甲状腺薬、放射性ヨウ素療法、外科的切除などがあり、患者の年齢・症状・副作用リスクを考慮して選択されます。
- 治療の目標は「過剰な代謝状態を抑え、できるだけ副作用を少なくし、甲状腺機能低下症(低TSH)を防ぐ」ことです。
- 過度の治療は逆に甲状腺機能低下症を招き、体重増加や倦怠感などの問題が生じることがあります。
