甲状腺の異常が引き起こす精神的問題とは

健康な甲状腺の働き

甲状腺は喉の根元に位置し、体の基礎代謝率を調節するホルモン(T4、T3)を分泌します。視床下部が下垂体にTSH(甲状腺刺激ホルモン)を分泌させ、甲状腺はT4を放出し、一部はT3に変換されます。血中のT4・T3濃度が低下すると、視床下部がTSHの分泌を増やすというフィードバック機構が働きます。

甲状腺機能亢進症とは

甲状腺が過剰に働き、T4が過剰に産生される状態です。原因は甲状腺炎、バセドウ病、毒性腺腫、毒性多結節性甲状腺腫、プラムマー病などがあります。代謝が著しく上昇し、急激な体重減少、頻脈や不整脈、発汗などが見られます。

甲状腺機能亢進症が精神に与える影響

過活動の甲状腺は不安・緊張、偏執的な恐怖感、イライラ、注意散漫、音に対する過敏、抑うつ、睡眠障害、食欲不振などを引き起こすことがあります。重症例では現実感覚が失われ、妄想や幻覚を伴う精神病様症状が出ることもあります。

甲状腺機能低下症とは

甲状腺がTSHに十分に反応せず、T3・T4が低下し、血中TSHが上昇する状態です。最も一般的な原因は自己免疫性甲状腺炎(橋本病)ですが、感染症、がん、過活動甲状腺の手術・放射線治療、薬剤なども原因になります。血液検査でTSHが高く、甲状腺ホルモンが低いことが診断基準です。

甲状腺機能低下症が精神に与える影響

甲状腺が低下すると、興味ややる気の喪失、思考の遅延、短期記憶の低下、活力の減少、全般的な認知機能の低下、うつ、偏執的な行動が現れます。適切な治療が行われない場合、認知症へ進行し、脳に永続的な障害を残すことがあります。

診断の難しさ

甲状腺症状は他の疾患と類似するため、診断が難しいことがあります。特に甲状腺機能低下症は症状が緩やかで長期間見過ごされがちです。誤って精神疾患と診断され入院・治療が行われるケースもありますが、適切な甲状腺治療により症状は改善します。精神症状が残る場合は、甲状腺以外の要因が関与していることが多いです。

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