胸腺腫の治療法
胸腺腫とは
胸腺腫は前縦隔に発生する腫瘍で、胸腺上皮細胞から生じます。胚細胞腫やリンパ腫など、胸腺に影響を及ぼす他の腫瘍は含みません。多くは良性で被膜がしっかりしており、転移することは稀です。しかし、胸腺腫はリンパ球の異常を引き起こし、自己免疫疾患や免疫不全を招くことがあります。
治療の流れ
- 外科手術(胸腺摘除術)を第一選択とする。 胸腺腫は外科的に切除しやすく、早期に胸腺摘除術を行えば根治が期待できます。被膜で包まれた腫瘍は完全切除が可能で、再発率は5%未満です。
- 手術は慎重に行う。 胸腺腫は血管や気管支を取り巻くことが多く、特に大きくなった腫瘍は出血が多くなる傾向があります。手術中の大量出血に備えた対策が必要です。
- 重症筋無力症(MG)患者には胸腺摘除術を推奨。 患者の約85%に胸腺の異常が認められ、摘除により症状が改善することがあります。摘除術はMG患者の約25%で筋力低下の改善が見られます。
- 浸潤性または切除不可能な胸腺腫には放射線療法を併用。 放射線単独の場合、再発率は50〜70%と高いため、手術と組み合わせて行うことが一般的です。
- 手術が不成功の場合は化学療法を検討。 シスプラチン単剤での奏効率は70〜80%です。シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンの併用療法も用いられます。また、胸腺腫に起因する免疫不全には、月1回の免疫グロブリン補充が有効です。
