背景
褥瘡(床ずれ)は、長時間同じ部位に圧力がかかり続けることで生じます。ベッドに長時間横たわる患者や車椅子利用者に特に多く見られます。圧迫による創傷の深さを評価することを「ステージング」と呼びます。
制度・ガイドライン
米国国立褥瘡諮問委員会(NPUAP)は、褥瘡のケアに関するガイドラインを策定しています。NPUAP の分類では、創傷はステージⅠ〜Ⅳの4段階、または「ステージング不能(unstageable)」に分類され、さらに「深部組織損傷疑い(suspected deep tissue injury)」という区分も設けられています。
問題点
創傷ステージングは、創部の最も深い生存組織層や構造が確認できるまで実施できません。創面が壊死組織(スラフ)や硬痂(エスカル)で覆われている場合、真の深さが不明になるためステージングが不可能となります。
定義と説明
2010 年に改訂された NPUAP の定義によると、ステージング不能な創傷は「全層組織欠損であり、創底がスラフ(黄色・黄褐色・灰色・緑色・茶色)またはエスカル(黄褐色・茶色・黒色)に覆われている状態」です。スラフやエスカルを除去し、創底が十分に見えるまで正確な深さは判断できません。ただし、かかとにある乾燥・固定・炎症のないエスカルは「体の自然な防護カバー」とみなされ、除去すべきではありません。
重要性
2007 年の Student Nurse Journey に掲載された Mary Arnold Long の記事によれば、最新定義の意義は次のとおりです。
- スラフとエスカルの正確な記述
- ステージング前に創底を明確に可視化する必要性の強調
- かかとの乾燥・固定エスカルは除去せずに保護すべきことの明示
乾燥エスカルを不適切に除去すると、骨髄炎や最悪の場合は切断に至るリスクがあります。代わりに圧力を除去し、ポビドンヨードでかかとを保護することで、エスカルを乾燥・安定した状態に保つことが推奨されます。
