法律変更の背景
米国心臓協会(AHA)は、歯科処置(洗浄・抜歯など)に対する短期抗生物質投与は、ほとんどの患者にとって利益よりリスクが大きいと指摘しています。重篤なアレルギー反応や抗生物質耐性菌の増加、さらに予防投与が感染性心内膜炎(IE)を防げるというエビデンスがないことが、法改正の主な要因です。感染性心内膜炎は、細菌や真菌が心臓の内膜や弁に感染し、生命に関わる重症です。
予防投与が必要な状態
現在のガイドラインで抗生物質予防投与が推奨されるのは、以下のような心臓リスクが高い患者です。
- 人工心臓弁や機械弁を装着している患者
- 過去に感染性心内膜炎を経験したことがある患者
- 先天性心疾患(例外として心室中隔欠損・心房中隔欠損を除く)や先天性心臓疾患全般
- シャントや人工血管、その他の人工デバイスを有する患者
- 手術後の修復欠損が残っている患者
- 心臓移植後に弁機能障害がある患者
予防投与が不要となった状態
AHAは、以下の疾患については短期抗生物質投与の必要性がなくなったとしています。
- 僧帽弁逸脱症
- リウマチ熱による心疾患
- 二尖弁症(大動脈弁二葉症)
- 石灰化性大動脈弁狭窄症
- 先天性心室中隔欠損(VSD)・心房中隔欠損(ASD)
- 肥大型心筋症(心筋が肥厚した先天性疾患)
