慢性エプスタイン・バールウイルス感染と歯周病

エプスタイン・バールウイルス(EBV)はヘルペスウイルス科に属するウイルスで、唾液を介して容易に感染します。そのため「キス病」とも呼ばれます。一方、歯周病は歯肉や歯槽骨に起こる炎症性疾患の総称です。歯肉が炎症を起こすとEBVが付着しやすくなり、感染リスクが高まります。

歴史

1964年、デニス・バーキット医師が腫瘍サンプルを英国の専門家に送付しました。病理学者エプスタインとウイルス学者バールがウイルスを同定し、エプスタイン・バールウイルスとして命名されました。バート・アチョングも研究に貢献しましたが、名称には含まれませんでした。

予防

歯周ポケット内のEBV陽性率は重度の歯周炎患者で60〜70%、重度の歯肉炎患者で15〜20%と報告されています。したがって、口腔衛生の徹底が最も効果的な予防策です。歯磨きとフロスで毎日プラークを除去し、半年に一度のプロフェッショナルクリーニングを受けることが推奨されます。

影響

米国国立衛生研究所(NIH)の調査によれば、EBVに感染すると伝染性単核球症(モノヌクレオシス)を発症しやすくなります。主な症状は発熱、リンパ節腫脹、咽頭痛で、根本的な治療法はありません。また、EBVは免疫低下者に多い口腔毛様白板症のリスクも高めます。症状は舌に白い斑点や毛状の病変として現れ、疼痛は軽度ですが外観が目立ちます。

潜在的リスク

歯周組織にEBVが潜むと、バーキットリンパ腫、悪性リンパ腫、鼻咽頭癌の発症リスクも上昇します。CDCとNIHの報告では、EBVがリンパ球を変異させることでバーキットリンパ腫が生じ、他の悪性リンパ腫や鼻咽頭癌も同様にウイルス感染が関与しています。

注意点

CDCによれば、世界人口の90%以上が一度はEBVに感染しています。多くは免疫が形成され軽症で済みますが、歯周病患者は慢性的にウイルスが歯肉組織に残り、がんや他疾患のリスクが高まります。根面平滑術(スケーリング・ルートプレーニング)などの歯周治療は、歯周炎の改善と同時にEBV除去にも効果があります。

歯周病 - 関連記事