男性と女性におけるアルコール摂取の生理学的影響
アルコールの摂取は男女で大きく異なる影響を及ぼします。社会的要因(家庭内暴力や性的暴力への脆弱性など)に加えて、体内での代謝や影響の出方も性別によって異なります。体重が同じでも、男女が同量のアルコールを飲んだ場合、体内での処理は異なります。
体内水分比率
一般的に女性は男性より体脂肪率が高く、体内の水分割合が低くなります。そのため、同じ体重で同量のアルコールを摂取した場合、女性の血中アルコール濃度は男性より希釈が少なく、濃度が高くなります。結果として、女性はアルコールの効果を強く感じやすくなります。
酵素
アルコールはまず胃にあるアルコール脱水素酵素(ADH)で分解されます。イタリアの医療病理学研究所の調査によると、男性は女性の約50%多くこの酵素を産生します。そのため、同等の体格の女性は胃での分解が少なく、より多くのアルコールが小腸へ吸収されます。結果として、女性の血中アルコール濃度は男性より最大で約7%高くなることがあります。
肝臓への影響
国際がん研究機関(IARC)の研究では、女性は男性より少量・短期間の飲酒でも肝臓疾患を発症しやすく、肝硬変やアルコール性肝炎で死亡するリスクも高いとされています。その原因は完全には解明されていませんが、エストロゲンが関与している可能性が指摘されています。
アルコールの排泄
女性は同じ量のアルコールを摂取した場合、男性より最大で約10%速く体内からアルコールを排泄することが報告されています。しかし、この排泄速度の差は、体格や体脂肪率による血中アルコール濃度の上昇と比べると相対的に小さな影響にとどまります。
