閉経とコレステロールの関係―研究と予防策
閉経は女性のコレステロールに大きな変化をもたらし、若年層ではまれでも、加齢とともに心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。米国心臓協会(AHA)は、食事や生活習慣の見直しでリスク低減が可能としています。
歴史
1987年9月の『New England Journal of Medicine』の研究では、遺伝的要因が閉経後のコレステロール上昇に寄与することが示されました。2009年の『American Journal of Epidemiology』の7年追跡調査では、閉経初期に脂質レベルがピークに達することが確認され、エストロゲン低下がLDL(悪玉)コレステロール上昇の原因と考えられています。
誤解
女性の健康イニシアチブ(Women's Health Initiative)は、16万人以上の高齢女性を対象に15年間実施された大規模研究です。1991年以降、閉経後ホルモン療法、食事改善、サプリメントが心疾患、骨粗鬆症、乳癌・大腸癌に与える影響を検証しました。その結果、ホルモン補充療法は心疾患リスクを減少させず、むしろ増加させる可能性があることが明らかになりました。また、閉経女性のコレステロール低下効果も認められませんでした。
重要性
HDL(高密度リポタンパク)は、コレステロールを組織から回収し血流から除去する「善玉」脂質です。一方、LDL(低密度リポタンパク)はコレステロールを血管壁や組織に運び、動脈硬化を促進する「悪玉」脂質です。HDLが多くLDLが少ない比率は心疾患リスクを低減します。
中性脂肪(トリグリセリド)は肥満、運動不足、喫煙、過度な飲酒など生活習慣と関連し、総コレステロールに含まれます。目安は150 mg/dL未満です。
2004年7月の『Atherosclerosis Journal』によると、総コレステロールが200 mg/dL未満は低リスク、200〜239 mg/dLは境界域、240 mg/dL以上は高リスクとされています。HDLは50 mg/dL以上、LDLは70 mg/dL未満が望ましいです。つまり、HDL/LDL比が総コレステロール数値と同等に重要です。
予防・対策
米国心臓協会(AHA)では、コレステロールを下げるために以下を推奨しています。
- 食物繊維が豊富な食事(オート麦、玄米、野菜・果実)を摂り、週に2回の青魚(EPA・DHA)を含む。
- 定期的な運動と禁煙。
- 十分な水分摂取。
- オメガ3脂肪酸サプリ(汚染物質の少ない魚油、エウィーネプラミス油、スピルリナ、亜麻仁油)でHDLを上昇。
- くるみやチアシードも有効。
また、カルシウム(魚、緑葉野菜)、ビタミンD、鉄分を十分に摂取し、塩分・脂肪・アルコールは控えめにしましょう。
注意点
多くの女性はがん検診(子宮頸がん検査、乳がん検査、直腸検査)を受けますが、血液検査を含む定期的な心血管リスクチェックは欠かせません。女性健康イニシアチブによると、心疾患と脳卒中で毎年約50万人の高齢女性が死亡しています。医師にコレステロール低下薬の適応について相談しましょう。
