聖母の実(ヴィテックス・アグヌス・カスタス)について
聖母の実(モンクペッパー)は、チャステツリー(Vitex agnus-castus)に由来し、西アジア・南西ヨーロッパ・米国南東部に自生します。その利用は2500年以上の歴史があり、現在もサプリメントとして販売されています。
歴史
中世に修道士が性欲抑制を目的として食事に聖母の実を加えたことから「モンクベリー(修道士のベリー)」という名前が付いたと伝えられています。古代ギリシャ人は、遠征中の男性が妻の貞潔を保つために聖母の実を使った飲料を作ったとされ、ローマ人も同様に葉を家の周囲に置き、その香りが同様の効果をもたらすと信じていました。
古代の医療利用
聖母の実は性欲抑制以外にも、月経前症候群(PMS)や更年期障害、不妊症の緩和に古くから用いられてきました。授乳中の母乳分泌促進、消化不良、頭痛、発熱、下痢、疝痛の治療にも使用され、種子と葉は蛇やクモの咬傷の対処にも利用されました。ペルシア人は、他のハーブと混合することでてんかん、精神疾患、ヒステリーの治療に役立つと発見しました。
現代医学
聖母の実が授乳促進や性欲抑制に効果があるという科学的根拠はありませんが、PMSの症状緩和に有用であるとする研究結果があります。乳房の張り、イライラ、便秘、頭痛、抑うつ気分などの症状が改善するケースが報告されています。欧州では過去50年間にわたり、PMSや月経周期の乱れ、周期性乳房痛の治療に広く用いられており、ドイツでは医薬品として承認・処方されています。
副作用
副作用はほとんどなく、口の渇き、倦怠感、めまい、頭痛、胃腸不快感など軽微な症状がまれに報告されています。処方薬との相互作用は確認されていませんが、妊娠中や授乳中の使用については十分な情報がなく、使用前に医師に相談することが推奨されます。
入手方法
聖母の実は主に80〜225 mgのカプセルとして販売されており、製造メーカーや1カプセルあたりの含有量により用量が異なります。エキス単体、粉砕した実を配合したエキス、ビタミンB6などとブレンドした製品などがあり、症状や医師の指示に合わせて選択します。
