女性のテストステロン補充療法:概要と注意点

低ゴナド症(ハイポゴナド症)の理解

低ゴナド症は、男女ともにテストステロンが不足する状態を指します。女性は男性の約10%のテストステロンしか産生しません。卵巣は主に性ホルモンを分泌しますが、テストステロン補充療法は不足時に正常レベルを補うことを目的とします。遺伝的要因、重度の栄養欠乏、特定の腫瘍などが原因となります。

主な症状

疲れやすさ、食事量が減っても体重が増える、性欲低下などはテストステロン低下のサインです。運動しても体重が減らない、反応速度の低下、脱毛、ホットフラッシュ、無月経なども見られます。思春期前に不足すると、成長遅延や月経不順、妊娠障害のリスクが高まります。女児では身長が低くなることがあります。

不足の原因

加齢に伴いテストステロンは徐々に減少し、40代になると20代の半分程度になります。加齢以外にも、下垂体や視床下部の障害、放射線・化学療法、腫瘍、髄膜炎、ムンプス、梅毒などの感染症が原因となります。

治療法の種類

テストステロンは錠剤、ロゼンジ、筋肉注射、皮下ペレット、パッチ、クリーム・ジェルなどで投与されます。女性には、血中への放出が緩やかな皮下ペレットが最も適しています(持続4〜6か月)。高用量の錠剤や注射は男性用に開発されたものが多く、女性には不向きです。低用量パッチは24時間で徐々にホルモンを放出し、肝臓への負担が少ないとされていますが、皮膚刺激が起こることがあります。ジェルは毎朝大腿内側や腹部に塗布しますが、女性への有効性はまだ議論中です。いずれの方法でも、適切な用量設定が重要です。

期待できる効果

テストステロン補充により、筋力・持久力の向上、体脂肪率の低下、筋肉量増加、性欲向上、記憶力・気分の改善、エネルギー増加が期待されます。心血管疾患の予防や骨・筋肉量の維持に寄与する可能性も示唆されています。閉経後や子宮・卵巣摘出後の女性に対しては、ホルモン補充療法と併用されることがあります。治療開始前に血中テストステロン濃度を測定し、過剰な場合は投与しないことが重要です。また、甲状腺機能や鉄欠乏症の除外検査も行います。採血は午前8時〜10時が推奨され、月経開始から8日以降に測定するとより正確です。

副作用とリスク

女性へのテストステロン補充はまだ十分に検証されていません。血中コレステロール、特にHDL(善玉コレステロール)が低下することや、血液粘度の増加、血流障害が報告されています。乳がんや前立腺がん(稀)リスクの増大も懸念されています。副作用として、重度のニキビ、むくみ、頭髪脱毛が挙げられます。エストロゲンと併用した場合、乳がんリスクが顕著に上昇する可能性があります。

注意点・警告

テストステロン欠乏は筋力低下や骨粗鬆症と関連しています。錠剤は女性の自然産生量よりはるかに高用量であるため、コレステロール上昇、重度のニキビ、肝機能障害のリスクがあります。妊娠中・授乳中の女性は投与すべきではありません。閉経後や子宮摘出後の女性には、最低用量で開始し、6か月ごとにコレステロール、年1回は肝機能をモニタリングすることが推奨されます。心臓・腎臓・肝臓に既往症がある場合は、ホルモン療法は禁忌です。

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