抗体の実用的な応用例
抗体は血液中に存在し、体が感染と戦うのを助ける物質です。外来の侵入者を認識し、その表面にある抗原と結合します。この結合により、細菌やウイルス、感染細胞などが免疫系の他の部分に破壊されるようにタグ付けされます。Bリンパ球と呼ばれる白血球が、体が遭遇した各抗原に対して特異的な抗体を産生します。この特異性により、抗体は医療や研究の分野で多くの実用的応用が可能です。
タイプ
抗体が結合する抗原上の部位は「エピトープ」と呼ばれます。1つの抗原は複数のエピトープを持ち、Bリンパ球はそれぞれに対して抗体を産生します。
- ポリクローナル抗体は複数のBリンパ球から得られ、様々なエピトープに結合します。免疫化されたマウス、羊、馬などの血清から回収され、同一抗原の複数部位を検出できます。
- モノクローナル抗体は1つのBリンパ球(もしくはその細胞と骨髄腫細胞を融合させたハイブリドーマ)から産生され、特定のエピトープにのみ結合する同一の抗体です。
診断への応用
- 抗体価検査は血中の特定抗体量を測定し、単核球症やウイルス性肝炎などの感染既往や最近の感染を判断します。ワクチン接種後の抗体価は、追加接種の必要性や免疫効果の有無を評価する指標となります。
- 自己免疫疾患の診断や、薬物・毒素・ホルモンの微量検出にも利用されます。ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)に対する抗体は妊娠検査キットの核心です。
同定への応用
- 抗体は特定の生物や微生物が持つ固有の抗原にだけ結合するため、標本中の微生物やその株を識別するのに用いられます。血清学(セロロジー)では、抗体と抗原の凝集反応(凝集)を利用して、病原体の種や血清型を特定します。
治療への応用
- 抗体技術を基盤とした薬剤として、Rituxan(リツキシマブ)やHerceptin(ヘルセプチン)などががん治療に使用されています。
- ウイルス感染症やエイズの治療候補としても研究が進んでおり、抗体による治療効果が期待されています。
- 移植手術における臓器拒絶反応の抑制には、OKT3などの抗体が使用されます。
