3フラグメントライゲーションのトラブルシューティング手順
ライゲーションは、DNA断片を結合させる実験手法で、商用キットを用いることで手順が簡略化されています。結合後は通常、トランスフォーメーションにより組換え大腸菌へ導入し、クローン増幅を行います。手順が多段階になるほど、期待した産物が得られないことが増え、特に3つ以上の断片を同時に結合させる「トリプルライゲーション」ではトラブルが頻発します。本稿では、トランスフォーメーションとライゲーションそれぞれの問題点を逆算的にチェックする方法を紹介します。
必要なもの
- ライゲーションキット
- ライゲーションプロトコル(取扱説明書)
- アガロースゲル
- 50× TBA バッファー(Tris 242 g、凍結酢酸 57.1 ml、0.5 M EDTA 100 mlを1 Lに調整)
- 脱イオン水
- DNA精製キット
トランスフォーメーションのトラブルシューティング
- 手順全体を逆算で確認:ライゲーションからトランスフォーメーションまでの各ステップをリスト化し、最終段階(培養)から原因を遡って検証します。
- DNA の純度を比較:キット付属のコントロールDNAと自分のサンプルをアガロースゲルで比較し、変換後に抽出したDNAのバンドパターンで成功可否を判断します。
- 培養結果を評価:アンピシリンなどの抗生物質を含む培地で増殖したコロニー数を確認します。増殖が乏しい場合、ベクターにインサートが組み込まれていない可能性があります。
- ライゲーション産物の精製状態を確認:バッファー塩や未失活のリガーゼが残っていると、トランスフォーメーション効率が低下します。熱処理でリガーゼを失活させ、精製後のDNAだけを使用してください。
- 使用する大腸菌株の保存期限をチェック:古いストックは形質転換能が低下します。新鮮な株または凍結保存したばかりの株を使用しましょう。
ライゲーションのトラブルシューティング
- DNA の純度を確認:塩類や酵素が残っているとライゲーション効率が落ちます。精製済みで塩分が除去されたDNAを使用してください。
- 末端の形状を把握:ブランチ末端(ブランチ)かステッキー末端かを確認し、対応するリガーゼ(T4 DNAリガーゼはブランチでもステッキーでも使用可)を選択します。
- DNA 濃度を測定:過剰な濃度は分子が線状化しやすく、結合効率が低下します。キットの推奨濃度範囲内で調整してください。
- リガーゼを新しいロットに交換:凍結・解凍を繰り返すと酵素活性が失われます。小分けに保存し、使用回数を減らすと良いでしょう。
- キット自体の状態を確認:有効期限切れや他のDNA・塩類で汚染されたキットは失敗の原因になります。必要に応じて新しいキットに入れ替えてください。
