直接生理食塩水法とは?
目的
直接生理食塩水法は、湿式標本作成法の一種です。標本(便、膣分泌物、精液など)を食塩水(生理食塩水)で希釈し、顕微鏡で観察します。食塩水は微生物や寄生虫の形態・運動性を確認するのに適した透明な液体です。
作製方法
作製には主に2通りあります。
- スライド上に食塩水を一滴垂らし、そこに少量の標本を加えて混ぜる。
- 試験管などで食塩水と標本を先に混合し、その懸濁液をスライドに滴下する。
いずれの場合も、混合液の上にカバーガラス(カバーリップ)を置きます。液体は薄く均一で、紙が透けて見える程度が目安です。厚すぎると観察が困難になります。
検査項目
標本の種類により観察対象は異なります。
- 便標本:線虫や条虫の卵・幼虫、原虫(例:ジアルジア・ラミblia、エンテロバクター・ヒストリカ)を確認。
- 膣分泌物:トリコモナス・バジナリス、酵母、クルーセル(細菌性膣炎の指標)を観察。
- 精液:精子の運動性評価に利用。
メリット・デメリット
- メリット:迅速かつ低コストで実施でき、診断結果をすぐに得られるため早期治療が可能。
- デメリット:標本は新鮮である必要があり、保存や後日の再検査はできない。すべての寄生虫が観察できるわけではなく、染色が必要な場合もある。
その他の利用例
人間の診断だけでなく、獣医学でも広く利用されています。小動物の回虫・条虫・鞭虫、ジアルジアなど、牛の毛虫・肺虫・肝吸虫、馬の血虫・糸虫・回虫など、多様な寄生虫の初期スクリーニングに有効です。
