ユニバーサルヘルスケアの概要と課題
ユニバーサルヘルスケアの概要
ユニバーサルヘルスケアは、すべての国民に対して公的資金で医療サービスを提供する制度です。制度の呼び方は「国民健康サービス」や「単一支払者制度」などがありますが、根本は「誰でも医療を受けられる」ことです。
提供体制
多くの国では政府が医療機関を運営・管理していますが、必ずしもすべてが公的機関というわけではありません。公的資金で医療費が賄われる一方で、民間企業が診療を行うケースや、民間診療所と公的診療所が共存する国もあります。民間サービスを利用する場合でも、公共医療を支える税金や保険料の支払いは免除されません。
資金調達
資金の調達方法は国ごとに異なります。カナダやイタリアのように一般税収から賄う場合もあれば、フランス・ドイツ・日本のように社会保険制度から独立した予算で運営するケースもあります。
カバー範囲
医療サービスの対象範囲も国によって差があります。カナダは入院費全額を公費で負担しますが、日本では患者が10〜30%の自己負担を行います。また、ベルギーは眼科・歯科治療をほぼ全額カバーする一方、オーストラリアはこれらを対象外としています。
世界的な導入状況
米国を除くほとんどの先進国は何らかの形で公的医療制度を持ち、国民の大多数が対象となっています。代表的な国はオーストラリア、カナダ、キューバ、フィンランド、フランス、ドイツ、ガーナ、イスラエル、南アフリカ、スウェーデン、イギリスなどです。
課題と批判
平等性が評価される一方で、民間医療が併存する国では「二層構造」の医療格差が生まれます。裕福層は高品質な私的医療を受け、その他の層は公的医療に限られます。また、コスト削減志向が強いと診療の質や対応の迅速さが低下すると指摘され、医師の報酬が低いことが医療イノベーションの停滞につながるという懸念もあります。
