国民健康保険制度の分類

米国の医療改革議論では、他国の国民健康保険制度が賛否両論の事例として頻繁に引用されます。本稿では、代表的な4つの制度カテゴリを概観し、その特徴と課題を整理します。

ビスマルクモデル

ドイツのオットー・フォン・ビスマルク首相にちなんで名付けられたこの制度は、雇用者と被雇用者が給与天引きで「健康保険基金」に拠出し、非営利の公的保険として運営されます。医師や病院は民間であることが多いものの、保険自体は政府が管理し、価格交渉力と全国民への加入義務により低コストを実現しています。主にドイツ、ベルギー、フランス、日本、オランダ、スイス、ラテンアメリカの一部で採用されています。

ベバリッジモデル

英国のウィリアム・ベバリッジが設計した国民保健サービス(NHS)に由来する制度で、税金で医療費を賄い、政府が病院や診療所を所有・運営します。医師は民間であることが多いですが、政府が診療報酬を統一して設定するため、医療費は抑制されます。スペイン、ニュージーランド、北欧諸国などがこのモデルを採用しています。

国民健康保険モデル(National Health Insurance)

ベバリッジとビスマルクのハイブリッドで、民間の医師・病院を利用しつつ、政府が運営する保険制度が全員から保険料を徴収して医療費を支払います。広告費や営利目的の管理費がないため、事務コストが低く、制度は米国の民間保険に比べてシンプルです。ただし、給付対象を限定し、待機時間が長くなることがあります。カナダ、韓国、台湾で導入されています。

自己負担型(Out-of-Pocket)

低所得国では、医療費を自分の手持ちの資金や農産物で支払うしかありません。その結果、資金のある者だけが医療サービスを受け、ほとんどの人々は病気のまま過ごすか、死亡に至ります。アフリカ、インド、南米、中国の一部などで見られ、医師に診てもらう機会が一生ない人も多数存在します。

健康保険 - 関連記事