ユニバーサルヘルスカバレッジのメリットとは?

米国では医療費が非常に高く、しかも十分なサービスが受けられないという問題があります。1人当たり年間8,000ドル以上を費やすにも関わらず、毎年約5,000万人が保険未加入の状態です(Physicians for a National Health Program, PNHP)。こうした現状を受けて、国民皆保険や単一支払者制度(シングルペイヤー)を求める声が高まっています。

単一支払者制度(シングルペイヤー)

PNHPは医師だけが加盟できる団体で、全ての医療費を政府が一元的に支払う単一支払者制度を主張しています。現在の民間保険は医師や病院と保険会社の間で膨大な書類作業と調整が必要で、無駄が多いと指摘。単一支払者制度が導入されれば、書類処理の削減だけで約4,000億ドルの節約が可能とされています。

市場の失敗と公的保険の必要性

経済学者ジョン・ゲイマンは『International Journal of Health Services』で、医療市場は自由競争が機能していないと指摘しています。営利目的のシステムは健康な人や裕福な人に有利で、低所得層は保険が届きにくい構造です。単一支払者の国民保険はこの市場失敗を是正し、家族あたり年間約1万ドルの保険料削減が見込めるとPNHPは算出しています。また、1998年上半期だけで医療関連ロビイストが6,000万ドルを費やしたことも、競争が不公平である証左です。

健康と長寿への影響

ゲイマンは、長期間保険に加入できない人々は将来的に深刻な健康問題を抱えるリスクが高いと報告しています。保険がないために症状が放置され、結果として重篤な病気へと進行します。未加入者の約80%は働く層であり、特に低賃金労働者は医療不備による疾病リスクが顕著です。

雇用形態とコスト

レナード・ロッドバーグ博士とドン・マッケンヌ博士は、米国の雇用形態が変化し、臨時・季節労働やフリーランスが増加する中で、従来の保険制度は時代遅れになっていると指摘しています。現在のマネージドケアは医療提供を制限し、費用は増大する一方です。単一支払者制度にすれば、予算や費用増加の要因が公開され、政治的・社会的議論の対象となるため、無駄な広告費やロビー活動によるコストを削減できると論じています。

健康保険 - 関連記事