医療貯蓄口座(HSA)の欠点
医療貯蓄口座(Health Savings Account、HSA)は、2003 年に米国上院が医療保険法(Medicare Bill)を可決したことにより創設されました。雇用中や退職後の医療費や健康関連費用に対し、税金がかからない形で貯蓄できる制度です。現在、個人は年間最大 3,000 ドル、家族は最大 6,000 ドルを無税で拠出できます。
1. 高額自己負担額がハードルになる
HSA に加入するには「高額自己負担型健康保険(HDHP)」が前提です。保険料は低めですが、保険が支払われるまでに個人が支払う医療費が 1,100 ドル(個人プラン)/2,200 ドル(家族プラン)以上必要です。この金額は低所得者にとっては大きな負担となり、実質的に HSA が利用しにくくなります。
2. 重症・慢性患者には不向き
2006 年にジョージア州予算政策研究所が実施した分析によると、頻繁に医療費がかかる重症・慢性患者や障害者にとっては、HSA よりも標準的な保険プランの方が適しています。高額自己負担が続くと、貯蓄口座に十分な資金を蓄える余裕がなくなるためです。
3. 企業側のコスト削減手段になる
企業は従業員を HDHP に切り替えることで、保険料負担を減らすことができます。従業員は HSA の恩恵を受けられるものの、実際の医療費は自己負担が増えるため、保険のカバー範囲が限定的になります。
4. 拠出額に上限がある
HSA の拠出は上限が設定されており、HDHP の最低自己負担額と同程度です。そのため、医療費を自己負担で支払う金額が一定以上になるまで、拠出できる金額が制限されます。
5. 引き出し時に課税・罰金が課される
拠出金は非課税ですが、65 歳未満で医療費以外の目的に引き出すと、10% の罰金に加えて通常の所得税が課せられます。
