双極性障害における自殺率とリスク要因の解説
双極性障害は、激しい気分の変動を特徴とする精神疾患です。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、2006年の米国で自殺は死亡原因の第11位で、30,000件以上の死亡者が出ました。ジャック・バイラルジオン博士らの研究(Journal of the American Academy of Psychiatry and the Law)によれば、双極性障害を持つ人は他の精神疾患や身体疾患を持つ人に比べて自殺リスクが著しく高いことが示されています。
自殺と自殺未遂の違い
『Suicide and Bipolar Disorder』という2006年にJournal of Clinical Psychologyに掲載された記事によると、双極性障害患者の25%〜50%が生涯に一度は自殺未遂を試み、約15%が実際に自殺に至ります。一方で、自殺未遂と自殺の疫学は異なります。例えば、女性は男性の2〜3倍の頻度で自殺未遂を行い、未遂者は自殺の意図を他者に伝えることが多いと報告されています。
自殺リスク要因
- アルコール乱用や薬物依存
- 過去の自殺未遂歴
- 入院後の退院後経過期間が長いほどリスク増大
- 家族に自殺歴があるとリスクが約3倍に上昇(エドゥアルド・ビエタ博士の研究)
- うつエピソードの開始直後または終了直前にリスクが最も高い
薬物治療が自殺率に与える影響
ロス・J・バルデサリーニ博士の研究によれば、リチウムは双極性障害患者の自殺未遂率を約5倍に低減させます。その効果はリチウムのセロトニン作動性と抗攻撃性に起因するとされています。抗てんかん薬や抗精神病薬も自殺リスク低減の可能性が示唆されていますが、2009年時点では決定的なエビデンスはまだ得られていません。
双極性障害と併存する疾患
米国国立精神衛生研究所(NIMH)によると、双極性障害患者の約60%が物質乱用(アルコール・薬物)を併発しています。物質乱用は自殺リスクを大幅に高めます。また、外傷後ストレス障害(PTSD)や社交不安障害(社交恐怖)などの不安障害も頻繁に併存し、これらも自殺リスクを増幅させます。
自殺念慮がある人への支援
自殺念慮があると知ったら、まず真剣に受け止めることが最も重要です。ジェファーソン郡保健センターの調査によれば、自殺者の75%が死亡数週間前に自殺念慮を表明しています。自殺は予防可能な行為であり、専門家への相談を促すことが鍵です。自殺を考える人は止められないという考えは誤りで、適切な支援と治療により回復は可能です。
