双極性障害の概要
双極性障害(旧称:躁うつ病)は、気分が極端に変動する深刻な精神疾患です。米国だけで600万人以上が罹患しており、躁状態と抑うつ状態が交互に現れます。両方の状態とも治療が必要ですが、特に抑うつエピソードで医療機関を受診する人が多いです。
古代文献に見る躁うつ症状
正式な名称はなくても、躁うつに類似した症状は古くから記録されています。16世紀の中国の高廉は『養生八書』で症状を記述し、2000年前のエジプトの医師は「躁(mania)」「憂鬱(melancholia)」という二つの極端な気分を認めています。
躁うつ症状の医学的認識
1850年代にフランスの精神科医二人が同時期にこの疾患を報告し、「円環性精神病」や「二相性精神病」といった名称が提案されました。その後、第三の精神科医が「躁うつ病(manic depression)」という名称を定着させ、後の研究に大きな影響を与えました。
エミール・クレペリンと躁うつ病の分類
ドイツの精神科医エミール・クレペリンは、精神障害の体系的分類者として知られ、躁うつ病を「躁うつ精神病」と定義しました。彼は気分の極端な変動だけでなく、症状が現れない安定期も重要視し、生物学的要因が原因であると主張した数少ない医師の一人でした。
現代の双極性障害治療
20世紀中頃、リチウムが気分安定薬として有効であることが発見され、精神医学史上初めての有効薬となりました。その後も薬物療法や心理社会的支援が進化し、適切な治療を受けることで患者は普通の生活を送ることが可能です。
