社会的認知理論の構成要素

社会的認知理論(SCT)は、スタンフォード大学のアルバート・バンデューラ教授が1960年代に提唱し、1986年に体系化・出版された理論です。社会的学習理論(SLT)から派生し、動物や人間の行動とその動機を説明します。バンデューラらは、他者の観察を通じた学習が理論に欠けていることに気づき、これを重要な要素として組み込みました。

学習(Learning)

社会的認知理論は、人は他者の行動や結果を観察することで間接的に学ぶと考えます。例えば、アルコール依存症から回復しようとする人は、同じ経験を持つ元依存者の姿を見ることで、禁酒の必要性や具体的な方法を理解しやすくなります。観察は、経験したいと願う出来事を実際に体験した人を通じて学ぶ重要な手段です。

認知過程(Cognitive Process)

観察だけでなく、学習には認知的なプロセスが不可欠です。バンデューラは、個人が自らの現実感を構築し、周囲の世界をどのように認知・対処するかが学習成果に影響すると述べました。たとえば、同じくアルコール依存症の人が他者の回復体験を観察すると、その情報を自分の現実として取り込み、行動変容の土台とします。

自己効力感(Self‑Efficacy)

学んだ行動を実行するには、本人が自分にその能力があると信じる必要があります。依存症からの脱却を目指す人が、実際に飲酒をやめられるという自己効力感を持つことは、行動変容を維持する上で極めて重要です。

自己調整(Self‑Regulation)

行動が定着した後も、外部からの誘惑やストレスに対処する自己調整力が求められます。飲酒をやめた人が、周囲が飲酒している場面に遭遇したときに、飲酒を再開しないように自分をコントロールすることが自己調整です。

社会的認知理論の課題(Issues with Social Cognitive Theory)

理論上は否定的な行動を改善できると期待されますが、実際に適用する際は、各要素が相互に複雑に絡み合うため、正しく理解し実践するのが難しいことがあります。

メンタルヘルス(一般) - 関連記事