小児における注意欠陥・多動性障害(ADHD)
定義
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の診断には、特定の基準を満たす必要があります。7歳以前に症状が出現し、少なくとも6か月間続くことが条件です。すべての子どもが多少の多動性や不注意を示すことがありますが、ADHDと診断される子どもは、同年齢の子どもと比べて頻度・重症度が顕著に高い行動を示します。
また、これらの行動が複数の環境(例:家庭、学校、地域社会)で機能障害を引き起こすことが重要です。ADHDは、以下の3つのサブタイプに分類されます。
- 多動性・衝動性優位型
- 不注意優位型
- 混合型(多動性・衝動性と不注意の両方の基準を満たす)
多動性・衝動性優位型
このタイプと診断されるには、次のうち6項目以上が見られる必要があります。
- 座っていられない
- 席を頻繁に離れる
- 年齢相応よりも走り回る、落ち着きがない
- 静かな活動を好まない
- 常に活動的で落ち着きがない様子が見られる
- 質問が出る前に答えてしまう、待ちきれない、順番を守れない
- 他者の会話を遮り、過度に話す
同時に、不注意の項目は6項目未満であることが条件です。
不注意優位型
不注意型と診断されるには、次のうち6項目以上が見られます。
- 細部に注意が向かない
- 注意を持続させるのが極めて困難
- 指示を聞き逃す、話を聞かない
- 課題を最後までやり遂げられない
- 物を頻繁に失くす、整理整頓が苦手
- 簡単に気が散り、忘れっぽい
- 持続的な精神的努力を要する活動を避ける、または嫌がる
多動性の項目は6項目未満である必要があります。
症状が現れる環境
診断のためには、これらの症状が2つ以上の環境で確認されることが必要です。典型的な場としては、教室、遊び場、家庭、地域の社会的場面などがあります。症状が一つの環境だけに限定される場合、ADHD以外の要因(例:学習障害やストレス)が関与している可能性があります。
治療
ADHDの治療は、薬物療法と心理・行動的支援を組み合わせた多面的アプローチが基本です。
- 薬物療法:刺激性薬(メチルフェニデート等)や非刺激性薬(アトモキセチン等)を使用し、注意力と衝動制御を改善します。
- カウンセリング・行動療法:子ども本人、家族、教師に対し、障害の理解と具体的な対処法を提供します。
- 学習環境の調整:教室での座席配置や課題の分割、時間の延長など、個別の配慮を行います。
- 地域支援:放課後プログラムや支援グループなど、社会的サポートを活用します。
効果的な治療には、医師、保護者、教育者、支援者が連携するチームアプローチが不可欠です。
