認知症に伴う心理的症状の種類と特徴

認知症は脳の変性により様々な心理的症状を引き起こします。症状の中には重度で介護者の負担が大きいものと、比較的軽度で対処しやすいものがあります。本稿では代表的な症状を分類し、可逆的なものと不可逆的なものに分けて解説します。

妄想(デリュージョン)

妄想は「誰も信用できない」「家族が物を盗んでいる」など、現実と異なる固定観念を抱く症状です。亡くなった親族がまだ生きていると信じたり、自分は自宅にいないと錯覚したりすることがあります。主に介護者や同居者が妄想の対象になることが多いです。

幻覚(ホラリシェーション)

幻覚は実際には存在しないものが見えたり聞こえたりする症状で、認知症患者にとって非常に対処が難しいです。見えない人物やペットと会話したり、鏡に自分以外の人物が映っていると錯覚して恐怖を感じることがあります。時に声が指示を出すこともあり、統合失調症に似た症状が現れます。

行動の変化

妄想や幻覚に加えて、性格や行動に変化が見られます。失礼な発言や公衆の場での不適切な性行動、叫びや罵倒、衝動コントロールの欠如などが新たに現れ、以前は全く見られなかった行動です。

記憶障害

認知症が進行すると記憶力が低下し、顔は認識できても名前が思い出せなくなります。病状が進むと親しい家族さえ認識できなくなり、現在地や時間の感覚が失われて混乱を招きます。

可逆的な心理症状

一部の認知症は原因が除去可能であれば症状が改善することがあります。鉛中毒や薬剤性の中毒、摘出可能な脳腫瘍、感染症、軽度の脳卒中などが該当します。

不可逆的な心理症状

パーキンソン病やハンチントン病、アルツハイマー病などの変性疾患、重度の脳損傷、多発性脳卒中などは進行性であり、現時点で根本的な治療法はありません。症状は徐々に悪化し続けます。

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