境界性人格障害(BPD)の概要と治療法

境界性人格障害(Borderline Personality Disorder、BPD)は、自己イメージの歪みや感情調節の不安定さ、低い自尊心が特徴の精神疾患です。成人の約2%が診断されますが、自殺未遂や衝動的な行動が頻発するため、精神科入院患者の20%以上を占めます。女性に多く見られ、主な治療は心理療法です。

症状

  • 数時間続く激しい怒りや衝動、薬物乱用、自己傷害
  • 過度の性的欲求や多妻的行動、過食・拒食
  • 自己価値感の欠如やアイデンティティの喪失感
  • 人間関係の崩壊、就業困難、恋愛関係の維持が難しい
  • 拒絶や見捨てられる不安がエピソードを悪化させる

歴史

19世紀末、米国精神科医I.C.ロッセが「境界性精神病」と呼び、同日内に怒り・抑うつ・不安が交互に現れる状態を報告しました。その後、20世紀前半は神経症と精神病の境界と位置付けられましたが、1980年にDSM(診断統計マニュアル)で正式に基準が定められ、現在の名称が確立されました。

原因

原因は完全には解明されていませんが、以下が関与すると考えられています。

  • ホルモン変動(特に月経前のプレメンストラル期に症状が増強)
  • 遺伝的素因
  • 児童期の性的虐待(13歳未満の被害が40〜70%)
  • 境界性人格障害を持つ親、特に母親からの影響(遺伝か環境かは不明)

治療

治療の中心は心理療法です。個別セッションとグループセラピーの双方が行われ、衝動制御や感情の根底にある動機を探ります。薬物療法は症状に応じて抗うつ薬や抗不安薬が処方されますが、BPD全体を治す薬はありません。重度の自己傷害がある場合は、24時間体制の入院施設での治療が選択されることもあります。継続的な治療により、患者は日常生活を取り戻すことが可能です。

その他のリスク

BPD患者は、衝動的な行動や危険な性的関係により、成人期に家庭内暴力や性的暴行の被害に遭うリスクが高まります。また、HIV/AIDSやその他の性感染症に罹患しやすい傾向があります。

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