起源

救急医療の起源は聖書の良きサマリア人のたとえ話にさかのぼります。負傷者をロバで運び、宿屋で手当てしたエピソードです。中世には、1099年に聖ヨハネ騎士団(後のホスピタリオ騎士団)が戦場での負傷者救護に専念しました。

最初の救急車

18世紀後半、ナポレオン戦争時代のフランス軍医師ドミニク・ジャン・ラレイが「空飛ぶ救急車」と呼ばれる馬車を開発しました(1792年)。負傷した兵士を迅速に輸送するこのシステムは、現代の救急車の原型となりました。

20世紀初頭の救急車

米国で本格的な救急車サービスが始まったのは19世紀後半です。オハイオ州シンシナティの商業病院(現シンシナティ総合病院)が1865年に専用車両を導入し、ニューヨークのベルビュー病院が医療機器を搭載した救急車を運用しました。20世紀初頭には、シカゴのマイケル・リース病院やニューヨークの病院が電動モーター駆動の救急車を導入し、機械化が進みました。

「白書」

1966年、米国科学アカデミーが「事故死と障害:近代社会の無視された疾病」と題した報告書(通称「白書」)を公表しました。この報告は救急医療の課題を指摘し、同年の道路安全法や1976年の緊急医療委員会の設立など、規制強化とサービス向上の契機となりました。

現代の救急医療サービス

現在、救急医療サービス(EMS)は米国・カナダ・ヨーロッパを中心に広く採用され、標準救護、基本的生命維持(BLS)、高度な生命維持(ALS)の三層構造で提供されています。主な職種は救急救命士(EMT)やパラメディックで、看護師や医師もチームに加わります。さらに、脳卒中や心停止などの専門的な救急医療や、氷上・水中救助などの捜索救助活動も行われています。