水中植物への油流出影響実験
概要
プランクトンは海洋油流出実験で研究対象となる水中植物で、海洋食物連鎖の底辺に位置します。水柱から栄養分を吸収するため、プランクトンの変化は油流出の初期影響を示す指標となります。油は数日間水柱に残りますが、堆積物中では何年も残留します。プランクトンの早期解析により、堆積物が攪拌されて油が再び海中に放出された場合の将来的影響を予測できる可能性があります。
メソコスム実験
中国・長江河口で行われた実験では、自然環境にできるだけ近い臨時水槽(メソコスム)を2つ設置しました。一方のメソコスムに油を添加し、もう一方は対照としました。両水槽で温度、塩分、有機炭素、プランクトン密度などの環境・生物指標を測定しました。その結果、最小の微小プランクトンと最大のプランクトン種の成長率は油の影響を受けませんでしたが、サイズが中間のナノプランクトンは成長が抑制されました。
実験室実験
メキシコ湾のプランクトン8種を対象に、異なる濃度・種類の油に96時間曝露させ、対照と比較して細胞増殖が50%低下する濃度(EC50)を測定しました。その結果、ナイジェリア産原油が最も毒性が高く、イラン産・エンパイア混合原油はやや低く、サウジアラビア産とベネズエラ産の原油は最も毒性が低いことが分かりました。
子ども向け実験
油流出は水中植物の光合成を妨げ、成長を阻害します。これは、油が水面に浮かび光が水柱を通過しにくくなるためです。この現象を子どもでも体験できる実験として、ハイドリラ(浮遊植物)とビーカー、試験管、じょうご、水、定規、エンジンオイルを使用します。2つの装置を作り、ハイドリラを透明なじょうごの下に置き、逆さまにした試験管でじょうごを覆います。各ビーカーと試験管には一定量の水を入れ、一方は油を表面に層状に入れます。光合成に伴い二酸化炭素が吸収され酸素が生成され、生成された酸素は試験管内の水位変化で測定できます。
意義
実環境に近い実験は、食物連鎖の底辺に位置する水中植物への油流出影響を示す重要な指標となります。実験室での毒性評価は油種ごとのリスクを明らかにし、子ども向け実験は油が光合成を阻害するメカニズムを直感的に理解させます。
