アスベストの短期・長期影響
短期曝露の影響
短期間(急性)のアスベスト曝露は、すぐに自覚症状が現れます。アスベストが摩耗して微細な繊維や粒子が空中に舞い上がり、近くにいる人が吸入すると、呼吸困難、胸部や腹部の痛み、皮膚や粘膜の刺激などが起こります。環境中に微量のアスベストが常に存在していますが、適度なレベルの曝露では直ちに健康被害が出るとは限りません。
長期曝露の影響
アスベストへの長期曝露は、症状が現れるまでに20〜30年かかることもあり、深刻な健康リスクを伴います。主な疾患はアスベスト症(asbestosis)で、慢性肺疾患として肺がんや中皮腫(メソテリオーマ)を引き起こすことがあります。米国陸軍の調査によれば、発症リスクは曝露頻度と濃度に依存します。長期的な症状としては、呼吸困難、乾いた咳、指先の肥厚、皮膚の青白さなどがあり、胸部X線で胸膜肥厚や石灰化プラークが確認されることがあります。短期的な症状が収まった後も、無症状期間が続くことがあります。曝露が疑われる場合は、5年ごとに胸部X線検査を行うことが推奨されます。
最終的なポイント
アスベスト症は肺の線維化(瘢痕化)であり、進行性の疾患です。曝露が止まっても症状は徐々に悪化し、重症例では呼吸機能の低下により死に至ることがあります。EPAは、自然に存在する微量のアスベストは常に空気中にあると指摘しています。同機関の数値モデルでは、生涯にわたり0.000004繊維/㎣(cm³)程度の濃度を吸入した場合、アスベスト症を発症するリスクは理論上ほぼゼロとされています。
