生物医学倫理の主要な原則とは?
はじめに
生物医学倫理は、医療現場や研究における行動指針となる道徳原則の体系です。患者の適切な治療の判断、研究の公正な実施、臨床医の複雑な意思決定を支援します。米国の生物医学倫理は、1977年にジェームズ・チャイルドレスとトーマス・ボーシャンプが提唱した『生物医学倫理の原則』4つに基づいています。
自律(Autonomy)
自律の原則は、個人が自らの運命を決定し、自己の身体や生活に関する選択を行う権利を尊重します。本人が十分な判断能力を持つ限り、最も利益になる選択を行うとみなされます。ただし、幼児や重度の精神疾患・認知障害を持つ患者など、自己決定が困難な場合は、代わりに適切な保護が必要です。
無危害(Nonmaleficence)
無危害は「危害を加えない」というヒポクラテスの誓いに由来し、患者に対して直接的・間接的な害を防止する義務です。化学療法や放射線治療のように、治療過程で一定のリスクが伴う場合でも、可能な限り最小の危害で済むよう配慮します。
善行(Beneficence)
善行の原則は、単に危害を防ぐだけでなく、患者の健康と福祉を積極的に促進する責任を医師に課します。症状の治療にとどまらず、生活の質向上や全体的な健康増進を目指す判断を支えます。
正義(Justice)
正義は医療資源やケアの公平な配分を意味します。比較的正義は、限られた資源を必要度や緊急性に基づいて配分することを指し、子どもと成人のどちらに薬を優先的に提供すべきかといった判断が含まれます。一方、配分的正義は、個々の要求ではなく、経済的・社会的原則に基づいて資源を配分することです。
