プールの塩素ガスが健康に与える影響
塩素は産業や家庭用洗浄剤で広く使用される化学物質で、米国で最も大量に生産されている化学品のひとつです。プールの消毒剤としても一般的に用いられますが、ガス状で使用すると、吸入した人に深刻な健康被害をもたらす可能性があります。
背景
塩素ガスは海水の電気分解で生成され、水に中程度に溶けます。塩素ガスが水と反応すると次亜塩素酸(HOCl)と塩酸(HCl)が生成し、これらが細胞を酸化して窒素やアンモニアと結合しクロラミンになるか、再び塩水に戻ります。吸入による刺激性が最も高い物質のひとつです。
中程度の影響
プールで使用される塩素は主に液体状態で、適切に管理すればほとんど影響はありません。プールの水質バランスが崩れクロラミンが増えると、目の赤みや皮膚のかゆみ、鼻や喉の軽い刺激が起こります。低濃度でも鼻・喉・眼の炎症や肺うっ血を引き起こすことがあります。
重度の影響
塩素濃度が極端に高いと、表面から塩素ガスが放出され、呼吸困難を招く恐れがあります。特に塩素を添加する作業者がリスクが高く、吸入すると意識消失や最悪の場合死亡に至ります。咳、呼吸数の変化、肺の損傷、上部・下部気道の急性障害が報告されています。
長期的・永久的な症状
塩素ガスへの過剰曝露は「反応性気道機能障害症候群(RADS)」と呼ばれる職業性喘息を引き起こすことがあります。水溶性で強い酸化力を持つ塩素はRADSの主要因のひとつです。既存の呼吸器疾患を持つ人は症状がさらに悪化しやすいです。
塩素の取り扱い注意点
プールの塩素添加時にガスが偶発的に放出されることがあります。化学薬品は必ずラベルに従い、適切に取り扱いましょう。ガス状の塩素を扱う際は防護具(ゴーグル、手袋、呼吸用マスク)を必ず装着し、皮膚に付着した場合はすぐに洗い流してください。他の薬品との混合は爆発など重大な事故につながります。
