ダイヤモンドの化学的特性と利用
ダイヤモンドは炭素の最も純粋な結晶形態で、南アフリカ、ロシア、オーストラリア、ブラジルなどで丸い礫状として自然に産出します。コンゴや南アフリカには大規模な埋蔵が確認されており、自然界では八面体結晶として見られます。1905年に南アフリカ・キンバリーの鉱山で発見された、約1.3ポンド(約590g)もの巨大なカリナン・ダイヤモンドは、現在でも最大級のダイヤモンドとして知られています。
人工ダイヤモンドの作製
人工ダイヤモンドは、純粋な砂糖炭と鉄をグラファイト製の坩堝に入れ、電気炉で約3,000℃に加熱して作られます。この高温下で炭素は鉄に溶解し、急速に鉛浴に浸すことで急冷されます。その後、濃硫酸で処理すると、人工的に結晶化したダイヤモンドが得られます。
構造
X線解析により、ダイヤモンド結晶は多数の正四面体ユニットから構成されていることが分かっています。各正四面体の中心に炭素原子があり、四隅の炭素原子と共有結合(C–C結合)で結びついています。隣接する正四面体同士も強固なC–C共有結合でつながっており、結果としてダイヤモンドは巨大分子(マクロ分子)と呼べる構造を持ちます。
物理的性質
ダイヤモンドは等方性の立方晶系に結晶化し、透明で無色または色彩を帯びた品種があります。その巨大分子構造により、非常に硬く、かつ脆い性質を示します。自然界で最も硬い物質として知られ、ガラスカッターや岩孔削りなどの工業工具に利用されます。融点は極めて高く、強固なC–C結合を切断するには大量の熱エネルギーが必要です。また、相対密度も高いです。
化学的性質
ダイヤモンドはほとんどの化学薬品に対して不活性で、すべての溶媒に不溶です。空気中で約900℃で燃焼し二酸化炭素を生成します。フッ素と反応させると700℃で四フッ化炭素(CF₄)を生成します。200℃で温かい酸化剤(過酸化カリウム・濃硫酸混合液)にゆっくり酸化され二酸化炭素となり、融解した炭酸ナトリウムにも徐々に作用します。真空中では1,500℃まで安定しますが、1,800〜2,000℃に加熱すると石墨へ転化します。
利用
無色のダイヤモンドは光の反射・屈折性が高く、宝石として高く評価されます。また、極めて硬いため、薄いワイヤーの引き伸ばしや高精度切削工具としても利用されます。
