股関節置換術の歴史

股関節置換術は、股関節を人工関節に置き換える手術で、主に変形性関節症や外傷による疼痛緩和を目的とします。20世紀前半に急速に発展し、以降技術は飛躍的に向上してきました。

初期の試み

1826年、米国の外科医ジョン・R・バートンは、癒着した股関節に対し骨切除手術を行い、3か月間は成功しましたが、数年後に関節の可動性が失われました。その後、チェコの外科医ヴィテスラフ・フルムスキーは、セルロイド、ゴム、亜鉛、脱灰骨、蝋など様々な素材で人工股関節の試作を行いました。

19世紀末のドイツ

1891年、ドイツのテミストクレス・グリュック教授は、象牙製の球状関節とニッケルめっき部品を用いた股関節置換手術を実施しました。そのデザインは芸術的な美しさでも評価されています。

20世紀中盤の革新

1942年、オースティン・T・ムーア博士は、ビタリウム合金製の金属人工関節を用いた最初の股関節置換手術を行いました。続いて1962年、イギリスのジョン・チャーニー卿は、プラスチック製の寛骨臼と金属製の大腿骨頭を組み合わせた世界初の全人工股関節置換を成功させました。この手術を受けた患者の85%は、術後20年以上の生存が期待できました。

ビルマ(ミャンマー)からの貢献

1960年、ビルマ(現ミャンマー)の外科医サン・バウ博士は、象牙製の人工関節部品を用いて骨折した股関節を再建しました。マンダレー総合病院で初めて実施し、その後も多数の手術を行い、1969年に英国整形外科協会の学会で技術を発表しました。バウ博士は、金属よりも象牙の方が人体に適合しやすいことを報告しています。

現代の動向

近年は、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)が急速に発展し、術中ナビゲーションによる精度向上が期待されています。また、全人工股関節置換の代替として、股関節表面置換(HSR)という手法が注目されています。HSRは股関節全体を切除せず、金属キャップで関節面を覆うことで、将来的な再手術の際に骨を温存できる利点があります。

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