股関節置換手術の概要と合併症対策
股関節置換術は一般的な手術です。1960年代に英国の外科医サー・ジョン・チャーンリーが完成させた人工股関節は、現在も主流です。医療技術の進歩により安全性は高まっていますが、感染リスクは残ります。ハーバード医療センター系列のブリガム・アンド・ウィメンズ病院によると、米国では年間約23万4千件の股関節置換が行われています。
細菌感染
- 通常、免疫系は細菌をすぐに排除しますが、人工関節はチタン、コバルトクロム、プラスチック、セラミックなどの素材で作られ、免疫が直接攻撃できません。そのため、感染が放置されると全身に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
遅発性感染
- 稀に、手術後1年以上経ってから股関節部に感染が発症することがあります。多くは歯科治療や咽頭感染など、関節以外の原因が関与していますが、重症化すると人工関節の除去が必要になることもあります。The Journal of Bone and Joint Surgery に掲載された E. Malcolm Downes 医師は、術前に感染症を徹底的に治療する重要性を指摘しています。
慢性疾患との関係
- 糖尿病や関節リウマチなどの慢性疾患を抱える患者は、感染リスクが高まります。これらの基礎疾患が術後合併症の頻度と重症度に影響すると報告されています。
血栓症
- 感染ではありませんが、血栓は股関節置換術後に比較的頻繁に起こる合併症です。医師は抗凝固薬の投与や、一定期間の圧迫ストッキング着用を指示します。
感染率
- 全患者の約2%未満が術後に感染します。最悪の場合、最初のインプラントを取り外し、再置換が必要になることがあります。人工関節は体内に存在しない素材であるため、抗生物質だけで100%の効果が得られるわけではありません。
予防・対策
- 術前に抗生物質を投与することが感染予防の基本です。歯科治療や他の手術を受ける際も、術前抗生物質の服用が推奨されます。感染が確認された場合は、適切な抗菌治療と必要に応じた外科的処置が行われます。
