スライダーボード療法と全膝関節置換術の効果
全膝関節置換術(TKA)
全膝関節置換術は、変形性関節症や外傷などで重度に損傷した膝関節の痛みと硬直を軽減します。金属とポリエチレン製の人工関節を大腿骨と脛骨の端部に固定し、痛みの緩和だけでなく可動域の拡大や生活の質向上を目指します。
運動の重要性
術後のリハビリにおいて運動は回復を早めます。米国整形外科医会によれば、回復室での軽い運動が術後痛の軽減と機能回復に寄与するとされています。また、運動は新しい膝関節の安定化にも役立ちます。
スライダーボード療法
1990年代に理学療法士とエンジニアが共同開発したスライダーボードは、足首を固定できるヒールカップと滑走面から構成されます。術後のリハビリでスライダーボードを使用する場合、理学療法士や看護師がヒールカップに足を置き、下腿の屈伸運動を行うことで膝関節に負担をかけずに可動域を確保できます。これにより入院期間の短縮が期待されます。
スライダーボードの有効性
American Journal of Physical Therapyに掲載されたランダム化比較試験では、術後2日目にスライダーボード療法を開始した群、連続受動運動装置(CPM)を使用した群、標準的な運動のみを行った群の3つに分け、計120名を比較しました。退院時、術後3か月・6か月の疼痛・機能・硬直の評価では、スライダーボード群と標準運動群の間に有意差は認められませんでした。
結論
本研究は、全膝関節置換術後のリハビリにおいて、標準的な運動が最も効果的であることを示す最初のRCTです。今後の研究で異なる結果が出る可能性はありますが、現時点では標準運動が最大の利益をもたらすと考えられます。
