胆嚢摘出手術後の消化器系の問題
胆嚢の概要
胆嚢は肝臓のすぐ下に位置し、胆汁を貯蔵する役割を担います。満杯になると梨くらいの大きさになり、食事前は胆汁で満たされています。食事後、胆嚢が収縮して胆汁を小腸へ放出し、脂肪の消化を助けます。
下痢
胆嚢摘出術後に最もよく報告される症状のひとつが下痢です。胆嚢がなくなると、胆汁は肝臓で産生され次第、一度に腸へ流れ込みます。胆汁は腸の分泌を刺激し、液体が増えるため食物が速く通過し、下痢を引き起こします。多くの場合、膨満感やガスも伴います。
吐き気・嘔吐
術後すぐに吐き気や嘔吐を感じる患者もいます。これらの症状はベッドから起き上がって活動を始めたときに顕在化しやすく、医療スタッフに伝えることが重要です。吐き気は経口鎮痛薬の吸収を妨げ、身体的な不快感を増大させます。
胆嚢摘出後症候群(Postcholecystectomy Syndrome)
手術後も胆嚢に関連した症状が続く、あるいは新たな症状が出た場合は「胆嚢摘出後症候群」と呼ばれます。2007年の研究(Eldon A. Shaffer 医師)によれば、患者の最大40%がこの症候群を経験するとされています。主な症状は上部腹部の痛み、膨満感、げっぷ、吐き気、少量の食事で満腹感が得られるなどの消化不良です。
薬物療法
慢性的な下痢には、胆汁酸を結合・不活化する薬剤「コレスチラミン(商品名:クエストラン)」が有効です。本来は高コレステロール血症の治療薬として開発されましたが、腸内の胆汁酸を除去することで下痢を軽減します。
食事の工夫
胆嚢摘出後は食事が消化に大きく影響します。回復期には消化管への負担を減らすため、液体中心の食事から始めることが推奨されます。また、ガスを発生しやすいブロッコリーなどの野菜は控えめにし、膨満感を抑える工夫が必要です。
