子どものアキレス腱伸長手術の概要と治療法
腱は筋肉と骨を結ぶ丈夫な繊維組織で、筋肉が収縮すると腱が骨を引っ張り関節を動かします。体内で最も太く強い腱はアキレス腱で、足のふくらはぎの筋肉をかかとに付着させ、歩行・立位・走行・ジャンプを可能にします。子どものアキレス腱はかかとの成長板に接続しているため、成長期に損傷しやすく、腱が短縮・収縮した場合に伸長手術(テノトミー)が行われます。
診断
医師は以下の方法でアキレス腱の伸長が必要かどうかを判断します。
- 視診・触診などの身体検査
- 患者・保護者からの問診
- レントゲンや超音波検査による画像診断
原因
小児のアキレス腱障害は主に次の4つに分類されます。
- 先天性:垂直タルスや先天性内反足など、足の形態異常が伴い腱が収縮しやすくなります。
- 発達性:特発性つま先歩行(3歳以降も続く場合は神経・筋疾患の可能性があります)。
- 神経筋性:脳性麻痺、二分脊椎、脊髄損傷・腫瘍、筋ジストロフィー(デュシェンヌ型など)。
- 外傷性:過度の運動や成長スパートに伴う「サーバー症候群」などの一時的炎症。
治療のメリット
- 足首・脚・足の痛みが軽減する
- 足首・足の柔軟性が向上する
- 歩行パターンが改善し、正常な歩行が可能になる
- 歩行が困難な子どもでも歩行ができるようになる
- 関節拘縮(固定)の予防になる
非手術的治療
短縮した腱に対しては、まず保存的治療が推奨されます。
- 矯正マニュピュレーションと連続キャスティング:足を徐々に伸ばすために、数週間ごとにキャスト(石膏)を交換します。治療開始から2〜4年かかることがありますが、日常生活や歩行は可能です。
- オーソティックシューズ:軽度の内反足や足の変形がある場合、キャストの代わりに矯正靴を使用します。
- 理学療法とストレッチ:定期的なストレッチ運動で腱を伸ばし、痛みを軽減します。
手術的治療
保存療法で効果が不十分な場合、以下の手術が選択肢となります。
- 開放手術:かかとの上部に6〜8cmの切開を行い、腱を切断・伸長させた後、再付着させます。術後は膝下キャストで約6週間固定します。
- 経皮的伸長術(テノトミー):局所麻酔下でかかとの上部と腱付着部の下部に小さな切入口を作り、腱を緩めます。外来で実施でき、術後も同様に膝下キャストで約6週間固定します。
治療後の注意点
手術・非手術いずれの場合も、以下を守ることが重要です。
- 理学療法士の指示に従い、家庭でのリハビリやストレッチを継続する
- 足首・足のブレースを常に装着し、適切な姿勢を保つ
- リハビリを怠ると関節拘縮や再収縮のリスクが高まります
リスク
全身麻酔や手術に伴う一般的なリスク(出血、感染、麻酔関連の合併症)に加え、テノトミー特有のリスクとして再手術の必要性があります。
