末梢動脈疾患(PAD)手術後のケア
末梢動脈疾患(PAD)は、全身に血液を供給する動脈が狭くなる、または閉塞する状態です。主に下肢に見られますが、腸管、腎臓、頸部にも発生します。主な原因は動脈硬化です。手術の種類に応じて術後のケアは異なりますが、共通して重要なのは適切な管理と生活習慣の改善です。
バイパス手術
腹部大動脈バイパスは大動脈瘤を迂回し、腸間膜バイパスは腸の血管を再配流します。大腿部の大腿腓骨バイパスや膝裏の膝窩血管バイパス、下腿の脛骨腓骨バイパスなどがあります。
腹部・腸間膜手術後は、胃腸管チューブを一時的に使用し、ICUで1〜3日、その後一般病棟で3〜5日入院します。大腿・膝窩・脛骨腓骨バイパスの場合は、一般病棟で2〜5日の入院が必要です。
退院後は、3〜6週間は激しい運動や重い荷物の持ち上げを控えます。手術創が完全に治癒するまで入浴は避け、シャワーは可能です。術後は医師のフォローアップを数回受ける必要があります。
頸動脈内膜剥離術(CEA)
脳へ血流を供給する頸動脈のプラークを除去し、脳卒中予防を目的とした手術です。術後は1〜3日の入院が一般的です。
退院後は最大3週間、激しい運動や重労働を控えます。手術創が治癒するまで入浴は避け、シャワーは許可されます。血液をさらさらにするため、抗凝固薬やアスピリンの処方が行われることがあります。医師の定期的な診察が必要です。
ステント留置術・血管形成術(アンジオプラスティ)
頸動脈に小さなステントを留置して閉塞を防止し、下肢の血管形成術ではバルーンで狭窄部を拡げます。腎動脈にステントを併用した腎血管形成術もあります。
これらの低侵襲手術の術後は、最低でも1泊の入院が必要です。退院後は1週間以内に通常の生活に戻りますが、X線造影に使用した造影剤を排出するために水分を十分に摂取してください。
生活習慣の改善
手術後は以下の点に留意した生活習慣の見直しが推奨されます。
- 血圧・血糖コントロール、禁煙、定期的な運動、バランスの取れた食事。
- 喫煙は血管収縮を招き、PADを悪化させます。運動は全身の筋力と酸素供給を向上させます。食事は血圧・コレステロール低下に寄与し、オメガ3脂肪酸や食物繊維を多く含むものを選び、トランス脂肪酸や過剰な塩分は控えましょう。
- 足のケアも重要です。毎日洗浄し、保湿剤で乾燥を防ぎます。爪は定期的に切り、靴はサイズが合い湿気がたまらないものを選びます。水ぶくれ、切り傷、潰瘍などの異常があればすぐに足病医(ポダイアトリスト)に相談してください。
