糖尿病に対する漢方治療の全貌
診断
中国医学では糖尿病を「陰虚・気虚」の状態と捉え、陰と陽のバランスが崩れることで発症すると説明します。糖尿病は「上部」「中部」「下部」の三タイプに分類され、上部は喉の渇きが主症状で肺に影響し、中部は極度の飢餓感が胃に、下部は頻尿が腎臓に関与するとされます。原因は不適切な食生活、感情の乱れ、陰の不足などで、原因に応じた治療方針が決まります。
治療方針
中国医学の医師は西洋医学の医師に比べて患者と長時間向き合うことができ、食事・日常生活・運動・睡眠・ストレスなど多角的に評価します。その結果、個々の症例に合わせた漢方薬の処方や鍼灸、食事指導、瞑想などが組み合わされます。
漢方薬
糖尿病治療に使用される漢方薬は約20種類あり、患者の状態に応じて様々な組み合わせが行われます。たとえば、インスリン分泌は残っているが低下している場合は、黄耆(Astragalus)、山薬(Polygonatum)、瓜蒌根(Trichosanthes root)、偽甘草(Pseudostellaria)、地黄(Rehmannia)などを配合した錠剤が用いられます。
中国のKuancheng糖尿病研究所が1989年に実施した臨床試験では、33名に漢方補助療法を行い、28名が血糖コントロールの改善を示しました。
西洋薬と漢方薬を併用する際は血糖が急激に低下するリスクがあるため、漢方は徐々に導入し、効果が現れたら西洋薬の用量を減らすことが推奨されます。
鍼灸
鍼灸は糖尿病に対するもう一つの中国医学的アプローチです。最大30箇所の経穴に針を刺し、手技または微弱な電流で気の流れを整えます。針は10〜30分留置し、6〜14回の治療セッションが標準的です。その後は半年ごとにメンテナンスを行うことが多いです。
同じくKuancheng研究所の試験では、38名を2群に分け、同一の食事と生活指導を行ったうえで、一方の群に20箇所の鍼灸を施しました。鍼灸群では37名が血糖改善を示し、わずか3名だけが変化なしでした。
