高圧酸素療法(HBOT)とは

高圧酸素療法(HBOT)は、100%酸素を大気圧より高い圧力で吸入させる医療法です。専用の高圧チャンバー内で酸素濃度と圧力を管理し、様々な疾患の治療に活用されます。以下に代表的な適応例を紹介します。

気体塞栓症

血管内にガスが入り込み血流を妨げる状態です。HBOTは気泡を縮小させ、血流回復を促進します。実績のある一次治療法として高い成功率が報告されています。

一酸化炭素中毒

米国では年間約4万件の救急受診と1千件の死亡が報告されています。HBOTは血中の一酸化炭素を迅速に除去し、組織酸素化を回復させます。

粉砕傷(外傷)

自動車事故や転倒、銃創などで重度の組織損傷を受けた場合、手術や抗生物質と併用することで酸素供給が改善し、腫脹軽減と感染予防、創傷治癒が促進されます。治療はできるだけ早期に開始し、通常5〜6日間継続します。

減圧症

主に潜水に伴う症状ですが、医療手技で体内にガスが入る場合にも発症します。HBOTは高圧下での100%酸素吸入により、ガス泡を縮小し症状を緩和します。

難治性創傷の治癒促進

通常の治療で改善しない創傷に対し、HBOTは組織酸素濃度を上げ、創傷修復プロセスを活性化します。標準的な創傷ケアと併用することで、四肢の切断リスクが低減します。

やけど

HBOTはやけどの進行を抑え、浮腫軽減、手術回数減少、肺障害低減、入院期間短縮といった効果があります。発症後6〜24時間以内に開始し、最初の24時間で3回、以降は症状が安定するまで1日2回の頻度で実施します。

さらに、ガス壊疽、貧血・大量出血、放射線障害遅延、皮弁・皮移植、頭蓋内膿瘍など多くの疾患にも適応が認められています。その他、脳卒中、脊髄損傷、片頭痛、多発性硬化症、骨疾患、放射線治療後の合併症、AIDSなどにも利用例があります。

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