キレート療法の危険性
歴史
キレート療法は、体内の重金属を除去するために薬剤を用いる治療です。第一次世界大戦中に毒ガス被曝の治療として初めて使用され、第二次世界大戦後は米海軍が鉛中毒の治療に採用しました。現在、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)をキレート剤とした治療は、米国食品医薬品局(FDA)により鉛中毒の治療に限り承認されています。治療開始前には、血中鉛濃度が医療介入を要するかどうかを確認する血液検査が必須です。
理論・仮説
EDTAは血中のカルシウムも除去するため、動脈硬化や心筋梗塞・脳卒中の原因となる血管内のカルシウム沈着を抑えるという仮説が提唱されました。
また、子どもの鉛中毒治療に使用された経験から、1985年には自閉症スペクトラム障害がワクチン接種に含まれる水銀による毒性が原因とする仮説に基づき、キレート療法が自閉症の治療法として宣伝されました。しかし、メイヨークリニックの報告によれば、水銀と自閉症の因果関係を示す研究は存在しません。
副作用と合併症
頭痛、吐き気、脱力感、筋痙攣などが代表的な副作用です。さらに、治療費は高額で保険適用されないことが多く、経済的負担が大きくなります。
臓器障害
EDTAは肝臓障害や腎不全、骨髄機能の低下を引き起こす可能性があります。また、キレート療法に依存すると、標準的な医学的治療の検討が遅れる恐れがあります。
死亡例
カルシウムは心拍リズムを調整する重要な電解質です。血中カルシウムが不足すると、心拍の不整が起こり得ます。米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、キレート療法による低カルシウム血症がペンシルベニア州、テキサス州、オレゴン州での死亡例と関連付けられています。
警告
米国医学会(AMA)や国立心肺血液研究所(NHLBI)は、鉛中毒以外の目的でのキレート療法を推奨していません。
