紫外線の医療利用
太陽光の一部である紫外線は、可視光より波長が短く、微生物を死滅させる性質があります。医療業界では、部屋や機器、医療器具の滅菌に利用されるほか、治療目的でも活用されています。
歴史
ドイツの天文学者フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ヘルツは、光のプリズム実験で「ウルトラレッド」と呼ばれる不可視光を発見しました。1801年にヨハン・ヴィルヘルム・リッターが紫色端の光を「化学光線」と命名し、後に紫外線と呼ばれるようになりました。
事実
紫外線は化学薬品を使わずに消毒・滅菌が可能で、細菌やウイルスを破壊します。1877年にイギリスのダウンズとブラントが日光で細菌が死ぬことを報告し、1892年にマーシャル・ワードがその殺菌作用が紫外線領域にあると示しました。また、紫外線は免疫系を刺激し、血液中の病原体除去にも効果があるとされています。
利点
環境に優しい紫外線は、病原体のDNAを損傷させ増殖を防ぎます。炭疽菌、サルモネラ、赤痢菌、ファージ、E. coli、肝炎ウイルス、インフルエンザなど多くの微生物に有効です。さらに、オゾンや過酸化水素と組み合わせた光療法は酸化代謝を回復させ、慢性疾患の治療に利用されています。
種類と医療応用
皮膚疾患の治療には光線療法(フォトセラピー)が用いられます。UVA光線は光感受性薬剤プソラレンと併用しPUVA療法と呼ばれます。広帯域UVBは皮膚の凹みのない部位に使用され、狭帯域UVBは特定波長で乾癬やかゆみ、白斑、扁平苔癬などに効果的です。これらは炎症組織や損傷細胞の修復を促しますが、副作用や禁忌もあるため注意が必要です。
紫外線殺菌灯
医療現場では紫外線殺菌灯(UV-Cランプ)が空気や機器の消毒に広く使われています。強力な紫外線エネルギーにより、カビ、真菌、さまざまなウイルスを除去し、手術室や病院内の空気清浄にも利用されています。安全装置が施され、直接曝露を防止しています。
