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結腸直腸癌の歴史と進展

結腸直腸癌(大腸癌)は、何千年もの間人類を脅かしてきました。大腸や直腸にできるポリープが治療されないまま進行すると癌化します。20世紀に入ってから、科学の進歩により癌の早期発見と治療法が飛躍的に向上し、リスク群の特定や罹患率の低下に大きく貢献しました。

古代文明における認識

約6,000年前から消化管系の疾患は人々を悩ませてきました。古代中国では、現在の結腸直腸癌に相当する症状に対し、特別な薬草が用いられていました。古代ギリシャやインドでは、オリーブオイルやマスタードを用いて予防しようとする試みが見られます。こうした治療法は20世紀まで続き、やがて病態のパターンが明らかになっていきました。

遺伝的要因の発見

結腸直腸癌患者の約5人に1人は、近親者に同じ疾患を抱えていることが知られています。1913年、米国の病理学者アルドレッド・スコット・ワーシンは、ある縫い子が家系で多くの死亡例が出ていることから自ら癌で死ぬと予言したエピソードをきっかけに、遺伝的関連性を指摘しました。その後、家系調査により3世代にわたって同様の死亡が確認され、遺伝がリスク因子であることが確立しました。

1966年、ヘンリー・リンチはワーシンの研究を基に「リンチ症候群Ⅰ・Ⅱ」を提唱し、特に大腸・直腸に発生しやすい消化管癌の遺伝的背景を体系化しました。

罹患率の低下

20世紀後半、結腸直腸癌は主に50歳以上の成人に多く見られ、米国では約17人に1人が生涯で罹患するとされていました。1985年までは毎年罹患数が増加していましたが、以降は年間約1.6%ずつ減少傾向に転じています。

スクリーニングと治療の進歩

1980年代後半以降の罹患率・死亡率の低下は、検診技術と治療法の向上、さらには食生活の改善が大きく寄与しています。大腸鏡検査や便潜血検査の普及により、ポリープや早期癌の発見が可能となり、早期に診断された場合の5年生存率は90%に達します。

化学療法、放射線療法、外科的切除技術の進化も、癌部位の除去と再発防止に大きく貢献しています。

人種・民族間の格差

結腸直腸癌の発症率は人種・民族によって差があることが研究で明らかになっています。CDCの30年にわたる調査によれば、黒人アメリカ人の診断率が最も高く、次いでネイティブ・アメリカ人、アジア系、ラテン系が続きます。死亡率は黒人男性、ネイティブ・アメリカ人女性、ラテン系女性が最も高いです。なぜ特定の人種・民族で罹患率が高くなるのか、原因は未解明のままです。

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