概要

境界性卵巣癌(Borderline Ovarian Tumor, BOT)は、卵巣に発生する腫瘍のうち、核異常は認められるものの浸潤性がなく、悪性腫瘍と良性腫瘍の中間に位置します。進行が遅く、予後は比較的良好ですが、適切な診断と治療が重要です。

歴史

1970年代にWHOが境界性卵巣腫瘍を独立した分類として認めるまで、これらの腫瘍は「半悪性」と呼ばれ、他の卵巣癌に比べて治療成績が良いことが報告されていました。Taylor医師が最初にこの概念を提唱しました。

種類

主に以下の2タイプが知られています。

  • 粘液性境界性卵巣腫瘍(mucinous)
  • 漿液性境界性卵巣腫瘍(serous、腸型)

発生頻度とリスク要因

卵巣腫瘍全体の約1.8%が境界性腫瘍です。リスク要因としては、喫煙、経口避妊薬の長期使用、早い初経、家族歴(遺伝性卵巣癌)などが挙げられます。

診断と検出

症状がほとんど現れないことが多く、腹部膨満や腹痛が出た時点で初めて発見されることが一般的です。超音波検査やCT、MRI、腫瘍マーカー(CA-125)を組み合わせて診断しますが、確定診断には手術による病理検査が必要です。

治療

診断確定後は外科的切除が第一選択です。腫瘍が限局している場合は、子宮・卵巣温存手術(不妊温存手術)も検討されます。術後の追加治療(化学療法など)は症例ごとに検討され、現在も研究が進められています。