正常な前立腺PSAとは何ですか?
前立腺特異抗原(PSA)は前立腺で産生されるたんぱく質で、男性の血液中に微量が存在します。PSA検査は前立腺がんのスクリーニングに用いられ、血中のPSA濃度が高いほどがんの可能性が高まります。ただし、PSA検査だけではがんと非がん性の要因を区別できず、確定診断は生検が必要です。
PSA値が示すもの
PSAはナノグラム/ミリリットル(ng/mL)で測定されます。国立がん研究所によると、PSA濃度が高いほど前立腺がんのリスクは上がりますが、絶対的な正常・異常値はありません。
- PSAが4 ng/mL未満でも約15%の男性にがんが見つかります。
- 4〜10 ng/mLの範囲ではリスクは20〜30%。
- 10〜20 ng/mLではリスクは50〜75%。
- 20 ng/mLを超えるとリスクは90%以上に上昇します。
PSA値に影響を与える要因
前立腺がんだけでなく、加齢や良性前立腺肥大(BPH)でもPSAは上昇します。前立腺が大きくなるほどPSA濃度も高くなります。また、前立腺の感染や炎症も上昇の原因です。
逆に、がんが存在していてもPSAが低くなる要因としては、特定の薬剤や前立腺健康を謳うハーブサプリメント、検査前2日以内の射精などがあります。
前立腺がんのリスクが高い人
米国がん学会によると、主なリスク要因は年齢、人種、居住地域、家族歴です。
- 年齢:リスク最大の要因で、65歳以上の男性に全症例の約2/3が集中。
- 人種:アフリカ系アメリカ人は他の人種よりリスクが高く、進行した段階で診断されやすい。アジア系・ラテン系は最も低い。
- 地域:北米、オーストラリア、ヨーロッパ・カリブ海地域で高く、アジア・アフリカ・中南米では低い。
- 家族歴:父親や兄弟にがんがあるとリスクが2倍に。3人以上の親族ががんで、かつ55歳未満で診断された場合はさらにリスクが上がる。
- 食生活:赤肉や高脂肪乳製品の多い食事、果物・野菜が少ない食事はリスク上昇と関連する可能性が示唆されている(研究中)。
PSA検査のメリットとデメリット
検査が早期がん発見につながる一方で、偽陽性・偽陰性の問題があります。偽陽性はがんがないのに高値となり、余計な不安や生検による疼痛・感染・出血リスクを招きます。偽陰性はがんを見逃す危険性です。
さらに、PSA検査だけではがんの進行性や悪性度は判断できません。進行が遅いがんは生涯に症状を起こさないこともあり、早期発見が過剰治療につながり、生活の質を低下させる可能性があります。
米国がん学会は、検査の是非は患者本人と医師が情報を共有し、十分に話し合った上で決めるべきと推奨しています。米国予防サービスタスクフォースは、75歳以上の男性に対しては定期的なスクリーニングを推奨しないとしています。
前立腺がんの統計
皮膚がんに次いで、前立腺がんは米国男性に最も多いがんで、がん関連死亡の約10%を占めます。米国がん学会の推計では、2009年に新たに約192,280件の診断があり、死亡者は27,360人でした。
