アルツハイマー病の基礎知識
概要
ドイツの医師アロイス・アルツハイマーが1906年に初めて報告したこの病は、脳を徐々に蝕み、脳細胞を死滅させます。記憶喪失や思考・行動の障害が進行し、最終的には死亡に至ります。認知症全体の50~80%を占め、2023年時点で根本的な治療法は確立されていませんが、症状の緩和や進行抑制を目指した研究が続けられています。
統計
- 米国では約530万人がアルツハイマー病と診断されており、2009年には死亡原因の第7位となっています。
- アフリカ系アメリカ人は白人の約2倍、ラテン系は1.5倍のリスクがあります。
- 2000年から2006年にかけて、脳卒中やがんなどの死亡率は低下した一方で、アルツハイマー病による死亡は46.1%増加しました。
主な症状
- 日常的な忘却は誰にでもありますが、アルツハイマーの場合は忘却が持続的かつ進行的です。
- 会話や約束事を繰り返し忘れる、物を置く場所を間違える、最終的には家族の名前さえ思い出せなくなります。
- 気分の変動、他者への不信感、頑固さの増加、うつ・不安・攻撃性といった情動面の変化も伴います。
進行段階
平均的には診断後4〜6年で死亡しますが、最短で3年、最長で20年と個人差があります。アルツハイマー協会が示す7段階は、以下のように概観できます。
- ① 無症状、② 軽度認知障害、③ 中等度認知障害、④ 明確な認知障害、⑤ 中等度から重度の認知障害、⑥ 重度、⑦ 極度(会話不能・日常生活自立不可)
原因とリスク要因
現在のところ明確な原因は解明されていませんが、遺伝的要因、環境要因、生活習慣が複合的に関与していると考えられています。主なリスク要因は以下の通りです。
- 年齢の上昇、家族歴
- 重度の頭部外傷
- 高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病、高コレステロールなどの循環器系疾患
予防と治療
根本的な治療法はまだありませんが、以下の生活習慣がリスク低減に寄与するとされています。
- バランスの取れた食事(地中海式食事など)
- 定期的な有酸素運動
- 社会的交流や趣味を通じた精神的刺激
また、認知症の症状緩和を目的とした薬剤(コリンエステラーゼ阻害薬やNMDA受容体拮抗薬)が処方されることがあります。
