減圧療法の効果と適応
減圧療法は、脊椎にかかる圧力を軽減し、腰痛や椎間板ヘルニア、しびれなどの症状を改善することを目的とした非外科的治療です。牽引により椎間板や椎体を伸ばし、神経圧迫を緩和します。
治療の基本
米国脊椎減圧協会(ASDA)によれば、コンピュータ制御のテーブルで患者を仰向けまたは俯せにし、骨盤ベルトと胸部ベルトで固定し、牽引により脊椎を伸ばします。1回のセッションは30〜45分で、5〜7週間にわたり週4回、計20〜28回実施します。必要に応じて電気刺激、超音波、温熱療法などを併用します。
生理学的効果
牽引と緩和のサイクルで椎骨間に負圧が生じ、水分・酸素・栄養素がディスクへ流入しやすくなるとされています。ディスクが徐々に元の位置に戻り、神経への圧迫が軽減され、数回の治療で痛みが軽減することがあります。
高齢者への効果
高齢者は手術リスクが高く、減圧療法が代替手段となります。2007年のDavid Rosenらの研究(Neurosurgery)では、75歳以上の患者が最小侵襲減圧療法を受け、痛み・機能障害が有意に改善し、効果が長期にわたって維持されました。
重度の腰痛に対する効果
2008年のArchives of Physical Medicine and Rehabilitationに掲載されたPaul Beattieらの研究では、下部腰椎の椎間板障害患者が8週間で24回のVAX‑D(椎体軸方向減圧)治療を受け、2週間後に可動域が大幅に改善し、最大180日間効果が持続しました。ただし対照群がなく、因果関係は明確ではありません。
効果に関する疑問点
2007年4月に米国メディケア・メディケイドサービスセンターが行ったレビューでは、減圧療法の臨床的優位性を示す十分なデータはなく、他の非外科的治療と比較できないと結論付けました。一方で副作用はほとんど報告されていません。
